光を奪われることもある難病へ立ち向かう
“水平線(Horizon)は、日の出を生じさせることにより、毎日が新しいスタートのチャンスであることを思い出させてくれる”これはフランスの整骨医でモデルでもあるベンジャミン・デマルキリー氏が、2022年1月に設立した財団法人「ホライゾン ファウンデーション」の掲げるモットーのひとつだ。このポジティブで希望に満ちたモットーこそ、ベンジャミン氏、そして同氏を支援するジョルジオ アルマーニが財団に込めた思いを明確に体現している。
「網膜色素変性症」という病いをご存じだろうか。聞き慣れないが、世界中で約4000人に1人の割合で発症する眼球の変性遺伝性疾患であり、進行すると社会的失明(視力0.1以下)または医学的失明(暗黒)に至る場合もあり、根本的な治療法は確立されていない。ベンジャミン氏は約8年間の猛勉強の末に晴れて整骨医となった翌年の2019年、網膜色素変性症の診断を受けた。だが、打ちひしがれていたところをフォトグラファーで現在も仕事のパートナーである、クレマン・ラガルディア氏にモデルの仕事を誘われて承諾。そこからベンジャミン氏の新たな運命の歯車が回り始める。
モデルとして世界中の美しい都市を巡り、多くの人々と出会うことで活力を取り戻した彼は、兼ねてからの夢だったセーリングによる大洋横断を通し、網膜色素変性症を広く知らしめ、募金を募って研究する医療機関を支援する「ホライゾン プロジェクト」を考案。そしてモデルの仕事をしたジョルジオ アルマーニに提案するとスポンサードを快諾され、プロジェクトの正式スタートとともに財団設立に至ったのだ。
「私にとってジョルジオ アルマーニは崇拝すべき存在です。最初はそのオーラとパワーに圧倒されましたが、歓迎され、共感を抱いてもらえたことで、シンプルでポジティブなマインドと温かなハートを携えた、けっして人を遠ざけない人間味溢れる企業であると確信しました。そしてその製品のクオリティと身に纏った際のエレガンスに心から感動し、彼らとの仕事を楽しみました。比類なきグローバル企業ですが、私には大きな家族のように感じられるのです」