クラウドコンピューティングのメリット
クラウドコンピューティングは、小売企業やその他企業にとって多くのメリットがあり、デジタル化との相乗効果が期待できます。・固定費の削減
ITハードウェア、専任スタッフ、メンテナンスとアップグレードの必要性、電力、専用スペースが不要になるため、固定費が削減できる。
・従量課金サービス
データセンターの固定費型サービスでは十分に機能が活用されていない場合があるが、従量課金サービスでは、使用するコンピュート(計算資源)に対して料金が発生するため無駄が少ない。
・膨大なコンピューティングパワー
ブラックフライデーなどのピーク時には、ネットワーク全体に配置された膨大なコンピューティングパワーを利用することができる。
・より頻繁なアップデート
従来のソフトウェアのアップグレードサイクルでは、数年単位で新機能をプログラムし、テストしていたが、クラウドプラットフォームでは通常、年に数回アップデートが行われる。
・クラウド向け開発の技術革新のスピードアップ
クラウドソフトウェアの開発では、クラウド独自の革新的な機能を活用し、特定のハードウェアに縛られることがなく、クラウドネイティブなソフトウェアを構築することができる。
・より高いサステナビリティ
稼働率が高いクラウドコンピューティングセンターは、稼働率が低いとはいえ電源を入れる必要がある施設を複数運用するよりも電力消費量が少なくて済む。また、多くのコンピュータセンターでは、汎用プロセッサーよりも効率的なチップを使用しており、多くのサーバーファームではソーラーパネルが設置されている。
しかしながら、クラウドコンピューティングが企業ITの未来にとって万能なわけではなく、小売企業やその他の企業ではその導入に懸念も残っています。
・クラウドプロバイダーへの依存
企業のデータを1つのクラウドプロバイダーに移行すると、そのプロバイダーの技術ロードマップに縛られるリスクがある(たとえば、将来の値上げなど)。
・信頼性
クラウドサービスプロバイダーには冗長性と信頼性の高いハードウェアとソフトウェアが組み込まれているとはいえ、障害が発生する可能性もあり、サービスが復旧するまで業務ができなくなる可能性がある。
・データの安全性
最も貴重な資産であるデータや企業秘密をクラウドプロバイダーに託すため、データがハッカーや競合他社から安全であることが保障される必要がある。例えば、2019年7月、Capital One銀行は、Amazonの元社員によってデータ侵害を受けたことを公表しており、Amazon Web Services(AWS)は現在、人為的なミスや改ざんから保護・隔離された安全なバーチャルマシンを作成するプラットフォーム「Nitro System」を提供している。