北米

2023.01.21

どうなるドラッグストア?米国、大手ではウォルマートがトップ5に食い込む

Getty Images

新型コロナウィルスによるパンデミック発生以来、米国のドラッグストア市場は、調剤、ワクチン接種、遠隔医療サービスの拡大により、重要な役割を果たしました。そして今、ドラッグストアはその役割を変革し、医療サービスの提供を拡大しようとしています。

本記事では、米国のドラッグストア市場の規模と成長、その拡大を牽引する重要な要因について説明しています。また、同市場のパフォーマンスと展望、オンライン市場、競合状況、イノベーター、2022年以降に注目されるテーマについても分析しています。

市場規模と機会

Coresight Researchでは、米国ドラッグストアの市場規模は、パンデミックの影響を受けた2021年の前年比7.1%増に続き、2022年は2.0%増と予測しており、2022年度からのドラッグストア売上高の前年比成長率は順調に上昇すると見ています。

2022年から2023年初めにかけては、新型コロナのワクチン接種や検査が一段落することで売上が減少し、ドラッグストア市場の成長は鈍化するとみられています。さらに、パンデミック時に需要が急増した一般医薬品や衛生用品の売上も減少するため、ドラッグストアチェーンが生み出す大きなフロントエンドの売上も減少するとみています。それでも、2022年の同市場の売上高は2020年比で9.3%増加すると予測しています。

2022年から2026年のドラッグストア市場の年平均成長率は2.5%と予測していますが、成長を促進する要因としては、拡大する消費者需要に対応し、より収益性の高いビジネスモデルを形成することで、様々なデジタル化プログラムを採用することが期待されるためです。

図1. 米国ドラッグストア総売上高(左軸:10億米ドル)および前年比(右軸:%)推移


(図内の訳、コメント「2022年度以降、ドラッグストア売上高の前年比成長率は順調に上昇する見込み」)
出典:米国国勢調査局/Coresight Research

市場の状況

グローバルサプライチェーンの課題、労働力不足、インフレ率の上昇は、2023年も引き続き同分野における主要な課題となりそうです。しかしながら、中長期的には、高齢化、慢性疾患の増加、消費者の健康志向などのさまざまな要因がこの分野にプラスの影響を与え、全体的な成長につながると思われます。

成長要因

高齢化社会の到来

米国国勢調査局によると、米国では65歳以上の人口が2010年から2019年にかけて34.2%、2018年から2019年にかけて3.2%増加し、2030年には米国の総人口の約20.0%を占めると推測されています。このような人口動態の変化により、特に慢性疾患の治療薬に対する需要が高まり、ドラッグストアはその恩恵を受ける可能性があります。
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文=RxR Innovation Initiative

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