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2023.01.26

クラウド市場を独占する「ビッグ3」 アマゾン、グーグル、マイクロソフトの今

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3大クラウドコンピューティングサービスプロバイダー:Amazon vs. Google vs. Microsoft

図1では、グローバルに展開しているクラウドサービスプロバイダー上位3社の主な指標を一覧にし、以下、それぞれについて詳しく説明します。

図1. 大手クラウドサービスプロバイダー比較

※Microsoft Azureの売上高および売上高成長率の数値は推定値
*Azureの1リージョンあたり3つのアベイラビリティゾーンがサポートされている
出典:企業レポート/Synergy Research Group/Coresight Research

AmazonのAWS

AWSは、最も近い競合であるMicrosoft Azureのほぼ2倍の規模を持つ、クラウドサービスプロバイダーの代表です。現Amazon CEOのAndy Jassy氏のもと、コンピューターのストレージとデータベース・プラットフォームでの成功から生まれたビジネスで、インターネットOSの開発にもつながっています。商用サービス開始当初はAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)と呼ばれていましたが、現在はAWSとして知られています。

Amazonは、Cisco Systemsやその他のベンダーからの製品提供から脱却し、インフラのコスト削減を目指し、サーバーやストレージのハードウェアを自社で構築した先駆者でもあります。同社は、独自のプロセッサーの設計に着手し、Graviton3プロセッサーは、従来モデルよりも25%価格性能が向上し(標準性能ベンチマークに対して)、消費電力は60%の削減が可能です。

AWSの成功の理由の1つは、Amazonが自社の小売事業をAWS上で行っていることです。同社の小売事業は規模が大きいため、小売企業がクラウドサービスに何を求めているかをAWSで十分に把握でき、機能の微調整を行うのに役立っています。

財務報告書によると、AWSはAmazonの小売事業をサポートし、財政的にも支えています。2021年のAWSの収益は企業収益全体の13%に過ぎませんでしたが、企業営業利益の72%を生み出しました。また、直近の四半期では、Amazonの北米と海外事業が不採算だったため、AWSは同社の純利益の100%以上を提供しています。事業の規模と成熟度に伴い成長は鈍化しているものの、AWSは健全な収益と営業利益の成長率を維持し続けています。

図2. AWSの年間および半期ごとの売上高と営業利益(億米ドル)

出典:企業レポート/S&P Capital IQ/Coresight Research

Googleクラウド

2008年にサービス開始したGoogleクラウドは、現在第3位のクラウドサービスプロバイダーですが、同社のCEOであるThomas Kurian氏は、今後の売上を3倍にしてMicrosoftを超え、Amazonと1位を争う可能性があることを公言しています。

Googleは消費者データや検索エンジンデータと広告キャンペーンを連携でき、そのことはGoogleクラウドを利用する小売企業にとって大きな魅力となっています。

図3. Googleクラウドの年間および半期ごとの売上と営業利益(億米ドル)

出典:企業レポート/S&P Capital IQ/Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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