クックパッドも実践、「一緒に食事」で高める社員のエンゲージメント

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職場で「自分の居場所がある」と感じられるのは多くの人が切望していることだが、実際はなかなか難しい。米国で行われたある調査によると、職場でよく孤独を感じると答えた人は全体の4割超にのぼった。こうした孤独感は従業員のエンゲージメント(帰属意識や働きがい)を弱めるだけでなく、会社へのコミットメント(関与)も低下させてしまう。

人と人の関係づくりで歴史的に重要な役割を果たしてきたのが食である。職場での食事は自分のデスクでできるだけ手早く済ますようなものになりがちだが、伝統的に食を共にするという行為は、知らない人を共同体に迎え入れる手段になってきた。

日本のレシピ共有サイト「クックパッド」の成功も、このような食による人々の結びつきに基づいている。

「食はすべての人をつなぎ、料理はわたしたちの存在そのものに不可欠なものです。家族や友人と手料理を楽しむのは自分自身や地域社会、さらに環境にも良い影響を与えます」とクックパッドの岩田林平社長は話す。「一緒に料理したり食事したりすることには、人と人を結びつける普遍的な力があります。(英国の)ブリストルにあるグローバル本社を含む各オフィスに、必要なものをすべて取り揃えた『クックパッドキッチン』を設けているのもそのためです」

岩田によると、社員たちが早めに出勤してこのキッチンで朝食をつくり、同僚と一緒に食べることも多いそうだ。ランチタイムも、デスクでひとり黙々とサンドイッチを食べるのではなく、キッチンスエリアにチームやカルチャーの異なる人たちが集まって一緒に料理し、共同のダイニングテーブルを囲んで楽しんでいるという。

岩田はこのキッチンスペースについて「コロナ禍後のオフィス勤務再開以来、チームメンバーの絆や親睦を深めるうえでも重要な役割を担っています」と話す。最近の調査では、社員の93%がクックパッドキッチンのおかげで同僚とのつながりが深まったと答え、会社に対する熱意が高まったという回答も85%にのぼったという。
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編集=江戸伸禎

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