クックパッドも実践、「一緒に食事」で高める社員のエンゲージメント

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「物理的な近さ」の重要性

コロナ禍によって多くの人がリモートワークを余儀なくされるようになったが、それは同時に、物理的に一緒にいることの大切さを再認識する機会にもなった。アレン曲線によると、物理的な距離が近いほど協力する確率が高くなるとされる。これは主に、距離が近いと砕けた会話ができるようになるためだ。

だがリモートワークの場合、決められたミーティングの場でしか集まらないため、こうした協力が促進されにくい。メタの最新VRヘッドセットのデモンストレーションでも同じような問題がみられた。ユーザーはミーティングのためにしかメタバースに入らず、そもそもアバターたちは自由に歩き回ってインフォーマルな集まりに参加したり、思いがけない出会いを体験したりすることができなかった。

ちなみに、新型コロナウイルスワクチンに利用されているmRNA技術は、カタリン・カリコとアンドリュー・ワイスマンがコピー機で偶然出会ったのが開発のきっかけになったというのは有名な話だ。

食も人と人を打ち解けさせるうえで非常な重要な役割を果たす。たとえば、オックスフォード大学の学者で思想家のセオドア・ゼルディンは、リバプールにあるイケアの店舗を文化・教育センターにし、そこでは偶然であった知らない人同士が店内の飲食店で夕食をとりながら会話できるようにした。

職場での昼休みは平均で30分ほどともされ、昼食をまるまる抜く人も少なくない。米国人の起業家で作家のキース・フェラッツィは独りで食事をするなと言っているが、多くの企業にそのメッセージが届いていないのは明らかだ。企業が人材誘致に躍起になっているいま、食事こそ従業員の心をつかむ方法かもしれない。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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