赤ワイン産地「リベラ・デル・デュエロ」でも白ワインが造れるように
リベラ・デル・デュエロは、スペインを代表する黒ブドウ品種テンプラニーリョ主体の赤ワインで有名な産地だ。1980年代までは無名の産地だったが、90年代に入り、世界的ブームを巻き起こした。かのロバート・パーカーが、1982年産の「ぺスケラ」というワインを「スペインのペトリュス」と大絶賛、パーカーポイント98点をつけたのだ。パーカー好みの味といえば、100点ワインの傾向から分かるように、アルコール度数が高く、果実味豊かなパンチのきいたワイン。お気に入りのカリフォルニア、ローヌ、ボルドーワインに通じる凝縮感たっぷりのリベラ・デル・デュエロの赤ワインが、パーカーの心を掴んだのだ。
以降、波に乗ったリベラ・デル・デュエロには続々と優れたワイナリーが誕生し、1982年には9件しかなかったワイナリーの数は300以上に増加。いまやスペインの高級ワインといえば、「ベガ・シシリア」や市価10万円前後の「ピングス」の名が必ずあがる。
そんなスペインきっての赤ワインの産地に、変化が起きている。これまで「リベラ・デル・デュエロ」のワインを名乗るには、赤とロゼワインしか認められていなかったのだが、2019年からなんと白ワインも生産できるようになったのだ。
その主要品種が、この地域に古くから植わる土着の白ブドウ、アルビーリョ・マジョール。テンプラニーリョ人気の陰で栽培面積が激減していた品種だが、「土着のブドウを守ろう」という再興の動きが広がっている。これまでのようにロゼワインや赤ワインにブレンドするのではなく、単体で白ワインを造る蔵も増え、品質はうなぎのぼりとの評判だ。
樹齢100年を超すものが、テンプラニーリョの畑にひっそりと混ざっていることも
単体でワインにすると、ブドウそのものが持つアロマや特徴の少ない品種だというが、言い方を変えれば醸造家の色によって何色にも染まる、白いキャンパスのような興味深いブドウということだ。現地では、ポテンシャルを発掘すべく、さまざまな栽培や醸造方法が試されている。