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geoffgoldswain / Bigstock

本年度に予定されているIPOで最もエキサイティングな銘柄の一つが、Fitbitだ。去る水曜日にFitbitの公募価格のレンジが14ドルから16ドルに決まり、いよいよ6月18日(現地時間)から「FIT」としてNYSEでの取引が開始する。売り出し株式数は2,240万株で、3億5,800万ドル(約442億円)を調達する見込みだ。ウェアラブル端末専門のメーカーとしては初めての上場となる。
この時期の上場は、Fitbitにとって絶好のタイミングだと言える。

昨年初めて黒字化を達成したFitbitは、1億3,200万ドルの利益を計上し、その財務体質はかつてなく強固に見える。2015年第一四半期の売上高は、前年比で3倍に増え、3億3,600万ドルとなった。IT調査会社IDCの直近のレポートによると、世界のウェアラブル市場で、Fitbitはトップシェアの34%を獲得している。

最近では、オバマ大統領でさえも、腕時計型デバイスのFitbit Surgeを着用している姿が目撃されている。Fitbitは潤沢なキャッシュを保有しており、3月末時点での現金及び現金同等物の残高は2億3,780万ドルとなっている。Fitbitは、時価総額30億ドルを目指している。

言うまでもなく、Fitbitはアメリカ国内のライバル企業に加え、海外勢との競争にも晒されている。最大のライバルで、市場シェアが4.4%のJawboneは、ここ数週間でFitbitを相手取り、二件の訴訟を起こしている。一件目は、FitbitがスカウトしたJawboneの元従業員が、知的財産を不正に持ち出したというものだ。二件目は、腕に装着したウェアラブル端末から健康管理アプリへデータを送る方法に関するJawbone特許を、Fitbitが侵害したというものだ。

Jawboneは、これらの訴訟にアメリカ国際貿易委員会を関与させ、アメリカ国内でのFitbit製品の出荷差し止めを狙っている。両社の争いが、AppleとSamsungの長期に及ぶ特許訴訟のような様相を呈するのかは不明だ。腕に着けたウェアラブル端末から健康データを取り込むのは、Fitbit以外にも複数のメーカーが行っている。

Fitbitの株主にとってより大きな脅威は、競争環境だ。ウェアラブル市場は、テクノロジー分野において最も成長が速いセグメントだ。ウェアラブル業界全体の売上高は、2015年の第一四半期に前年比200%となった。出荷台数は、2014年の1億4,400万台から、2018年には3倍に増えるとIDCは予測している。

まだ黎明期にあるウェアラブル市場においては、革新的な企業が参入して、業界の勢力図を一夜にして変えてしまう可能性がある。中国のXiaomi(小米科技)はその最有力だ。急成長中のXiaomiは、最初のウェアラブル端末のMi Bandを15ドルで売り出してから僅か一年足らずだが、2015年第一四半期のシェアは25%と、驚異的なスピードでFitbitを追い上げている。つまり、一年前には市場シェアが0だったものが、今では世界で二番目に大きいウェアラブル端末のメーカーとなったのだ。


Apple WatchをFitbitの主要な競合だと捉える向きもある。確かに両者には共通する部分もあるが、製品としてのカテゴリーや価格帯は異なる。Apple Watchはスマートウォッチという位置付けで、売価は350ドル以上だ。一方、Fitbit製品は、健康管理のための「フィットネストラッカー」という位置付けで、価格は59ドルから249ドルの間だ。

米国家電協会(CEA)によると、フィットネストラッカーを買い求める人の多くにとって、Apple Watchは予算オーバーだということだ。CEAの調査では、フィットネストラッカーの購入者のうち、43%は年収5万ドル以下で、年齢は35歳以下に偏っている。

もしXiaomiがMi Bandの耐久性を向上し、低価格で市場に乗り込んでくれば、FitbitにとってはApple Watch以上に頭の痛い問題になるかもしれない。ついに北米とヨーロッパに進出を果たしたXiaomiが、欧米のユーザーに支持されるようであれば、なおさら脅威となるだろう。ここに、投資家が注目するべき指標がある。Fitbitのシェアは業界首位の34%だが、実は2014年の44.7%から大きく落としている。主な原因は、Xiaomiなど競合他社との競争が激化していることだ。

FitbitはIPOの目論見書の中で、「より広い健康・フィットネス関連サービスを提供することで、同業他社との競争を優位に進めたい」と書いている。サンフランシスコを拠点とするFitbitは、具体的なアクションを明確にしていないが、健康・フィットネス市場の規模は2,000億ドルであり、その内容は、スポーツジムやヘルスクラブの会員、体重管理サービス、健康管理器具の販売などを含むとしている。

Fitbitは、上場で調達した資金を、研究開発やM&Aに使いたいとしている。また、大手健康関連企業との提携も、計画に含まれているかもしれない。あまり報道されていないが、FitbitはB2Bサービスも展開している。その内容は、法人向けに端末と関連ソフトのサブスクリプションを販売し、従業員向けの健康プログラムに活用してもらうというものだ。

今後、ヘルスケア関連の支出が増大することが見込まれる中、アメリカにおける企業向け健康サービスの市場規模は、2014年の74億ドルから、2018年には104億ドルに拡大すると調査会社のIBISWorldは予測している。この中には、Fitbitのようなテクノロジー企業が提供する、従業員の健康を管理し、健康的な生活を送ることを動機付けるツールの販売も含まれている。

Fitbitが、消費者向け事業に加えて、B2B事業も引き続き強固なものとすることができたなら、ウェアラブル端末メーカーとしては初めてスタートアップから成熟企業へと成長したモデルケースとなるかもしれない。

文=パーミー・オルソン(Forbes)/ 編集=上田裕資

 

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