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2015.06.18 16:03

伝説の投資家に学ぶ「今に活きる哲学」01ジョージ・ソロス

フォーブス ジャパン10月号より

フォーブス ジャパン10月号より

伝説の投資家は、もちろんウォーレン・バフェットだけではない。
ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズ、ピーター・リンチ……など、これまで“伝説”を残した投資家を挙げればきりがない。
フォーブス ジャパン2014年10月号では、「投資は哲学だ!」という特集テーマに適した投資家を9人選び、その投資実績や投資術、名言から彼らの投資哲学をひもといていく。


「伝説」という言葉は、存命の人物には使わないらしい。今回取り上げた9 人(バフェットを入れて10 人)のうち、他界しているのは2 人しかいない。
だから、本来、「伝説の投資家」という言葉は適切ではないのかもしれない。しかし、バフェットやリンチの驚異的なパフォーマンス、ソロスのイングランド銀行との通貨戦争、ヘルメットをかぶり、バットを振り回しながら莫大なトレーディング収益を上げた明神。どれも伝説化している。読者はすぐ気づくだろう―。みな言っていることが違うと。テンプルトンが分散投資を叫べば、バフェットは集中投資を徹底する。ロジャーズがマクロ分析を綿密に行えば、リンチは企業調査に徹する。極めつきはボーグル。「市場には勝てない、インデックス投資がいちばん」と断じる。確かにみな言っていることは違う。が、なぜか不思議とみな、説得力がある。理由は明白だ。
みな自分の哲学に自信をもっているからだ。投資でいちばん重要なのは、自分自身が納得することなのである。(本誌編集長 = 文)



ジョージ・ソロス(83) クォンタム・ファンドの創設者
投資哲学:もっともらしい話は疑ってかかれ、予期せぬことに賭けるべし。


影響を受けた人物:カール・ポパー

先見の明:1992年にポンドの暴落を予想して、大量に空売りを仕掛けた。その結果、イギリスは、欧州為替相場メカニズム(ERM)からの脱退を余儀なくされた。

投資実績:ハンガリー生まれの伝説のヘッジファンド・マネジャーで、グローバルマクロ投資のパイオニア。通貨危機を予測してその名を世に知らしめた。2013年には、円相場で円安に賭け40億ドルも個人資産を積み上げ、ヘッジファンド・マネジャーの長者番付1位に躍り出た。ソロスの投資は自身が考案した「再帰性理論」(市場にはフィードバックループが存在し、投資家が株価上昇を追い求めればバブルが生まれる)に基づく。

ソロス流投資:最近の最大投資案件は、イスラエルの製薬最大手テバの株式の買い増し。また、カール・アイカーンとビル・アックマンの間で攻防が繰り広げられていた健康食品・ハーバライフの株式に対しては、アイカーンの側についた。

FROM EDITOR-IN-CHIEF
史上最強の投資家がバフェットなら、ソロスは史上最強の投機家であろう。「イングランド銀行に勝った男」と呼ばれるゆえんとなった1992年の通貨戦争では英国政府を相手にポンドを売り浴びせ、巨万の富を手に入れるなど武勇伝には事欠かない。
「市場は常に間違っている」という信念に立つ一方で、「自分が人より優れている部分は、自分の間違いを素直に認めるところ」とし、いかに間違いを認めるかが成功の秘密と説く。

フォーブス = 文 フィリップ・ペライク = イラスト 原田隆弘 / 浦辺忠徳 / 岡本富士子 = 訳

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