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2023.01.08 10:30

雪不足で相次ぐ欧州スキー場の閉鎖、より持続可能なアプローチを迫られる


駆け込みの予約者(通常、経験豊富なスキーヤーで、予約前に雪予報を確認する人)はより高地のリゾートに向かっている。ツアーオペレーターのSkiworld(スキーワールド)によると、フランス南東部のティニュのような標高2500メートルにあるリゾートや氷河上のリゾートでは予約が3倍に増えているという。

多くのリゾート地では人工雪に頼っているが、これはスキーヤーを満足させるための高価でかなりのエネルギーを消費する方法だ。

状況は悪化の一途をたどっている。フランスのグルノーブル大学によると、1951年以降、フランスで閉鎖された169のスキーリゾートのうち、ほぼ半数が雪不足を閉鎖の理由に挙げている。統計では、2100年までに多くのアルペンリゾートで積雪が最大70%失われる可能性があることが示されている。

フランスのニュースチャンネルFrance 24は、フランスアルプス地方のサン・フィルマンという町の15年前に廃業したスキー場の錆びたチェアリフトの解体を取り上げた。このプロジェクトは、フランスの老朽化したスキー場のインフラを撤去し、通年楽しめる持続可能な観光に置き換えることを専門とする組織Mountain Wilderness(マウンテン・ウィルダネス)が監督した。

多くのリゾート地では、ツリークライミングやスノーシュー(専用のブーツで雪の上を歩くアクティビティ)など、観光客を呼び込むために他のアクティビティに移行している。ピレネー山脈では、ハイキングやサイクリングが主なアクティビティとして開発されている

他のスキー場では、現在のスキー場を将来にわたって存続させようと異なるアプローチをとっている。例えば、フランスのセー・シュバリエでは太陽光発電、風力発電、水力発電に移行してすべての電力を賄おうとしている。リフトの屋根にはソーラーパネルが設置されている。太陽光が強烈なため、消費する以上のエネルギーを生み出している。他のリフトは風力発電で、ゲレンデの小屋の電力はハイブリッドで賄われている(2030年までに完全に再生可能エネルギーにする計画だ)。また、エコ・レストランを開店させ、エコ・ジット(フランス語で休暇用コテージの意)の構想も進んでいる。

スキーヤーが少ない時間帯にスキー場のリフトの運行ペースを落とすことで、リゾート内のエネルギー消費を抑える計画もある。リフトの待ち時間が1分長くなるだけで使用するエネルギーを20%削減できるとのことで、これは他のスキー場にとって参考になる取り組みかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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