漁網から漁網へのリサイクルの可能性は?
今回の3社連携とは少し話が逸れるが、漁網から漁網への水平リサイクルの可能性についても伺った。
Bureo Stover氏 : 技術的には可能であるものの、経済的な側面から考えると実現が難しいのが現状です。今のところは、バージン資源を使用した漁網の方が安く生産できるため、それが一度使われた後リサイクルさせる方が現実的です。リサイクルされる廃棄漁網の割合はまだ低く、その割合を上げていきたいと考えています。一方、バージン素材で作られたプラスチックを使用することに対しては圧力がかかってくる可能性は高く、新しい化石燃料を使用しなくて済むように仕組みを変えていく必要があります。
豊田通商 高橋氏 : 個人的に漁網の水平リサイクルには非常に関心を持っています。ケミカルリサイクルというのは最もコストがかかるステップであり、リサイクルにより作られた製品に、経済的な価値以外にも認められる付加価値を付けていくことが重要です。それが実現すれば将来的には可能性もあるのではないかと考えています。
このジャケットの先に目指すものは
豊田通商 高橋氏 : 豊田通商とパタゴニアは、コットンTシャツを国内で回収・リサイクルするプロジェクトを行っており、他のアパレル製品やメーカーの製品にも広げていきたいと考えています。今回開発されたダウンジャケットも、いつかそのように消費者の皆さんから回収することが出来るかもしれませんし、そうなれば製品の作り方から使用後の循環の仕方まで、他のメーカーさんにとってもモデルケースとなれる可能性があります。
消費者に対しては、インセンティブを提供してリサイクルを促進することも大切ですが、リサイクルしようと意識しなくてもできている状態、考えなくてもできるような社会を作ることを最終的な青写真として描いています。
Bureo Ahearn氏 : リサイクル素材を含むアパレル製品は増えてきましたが、その含有率が低い製品もまだ多く、含有率を上げていき、100%リサイクル素材を使った製品を増やしていきたいと考えています。