ビジネス

2023.01.06

廃棄漁網から、パタゴニアのダウンが生まれるまで

(左から)Bureo のStover氏、 パタゴニア のPomphrey氏、Bureo のAhern氏、豊田通商の高橋氏


パタゴニア Pomphrey氏 : 将来を見渡すと、ビジネスを行っていく難易度はより上がると考えています。地球環境が破壊されてしまうと、そこでビジネスを行うことはできなくなるわけで、幸いなことに当社の創業者が環境を第一に考えてビジネスを始めたことは非常に重要なことです。私は豊富な自然環境を持つアラスカで育ったのですが、アラスカにいた当時と比較して自然環境や気候が大きく変わり、夏がなくなってきたと感じたことが問題解決について考える大きなきっかけとなりました。

企業のミッションとして、地球によいことをすることと、ビジネスを行うことを、同時に両立させる必要があります。ビジネスから収益を上げられると、その結果地球にポジティブな影響を与えることができるという形でビジネスを行っていくことが大切です。

編集後記


記事冒頭でも触れたように、廃棄漁網の再生材を部分的に利用した製品は登場し始めている。リサイクル素材を100%利用して作られた生地、それを使って極寒地での着用にも耐えられる機能性を備えた製品が開発されたという点で、NetPlus(R)の開発と、それを使用したジャケットの実現は、リサイクル素材の利活用の可能性に風穴を開ける存在になるだろう。

使用済み漁網を海洋に廃棄する慣習を変えない限り、今後も廃棄漁網は発生し続ける。漁網を廃棄せず回収することが、現場で漁網を扱う漁師や彼らのコミュニティにとってメリットをもたらす仕組みを作り浸透させ、従来の漁業慣行の変容を実現した取り組みの意義は大きい。

廃棄されてきたものを資源に変え、その状態が、関わる人達に利益をもたらす循環を目指す3社による連携は、今後それ以外のステークホルダーにも波及していくと期待できる。

(*1)Richardson, K., Gunn, R., Wilcox, C., & Hardesty, B. D. (2018). Understanding causes of gear loss provides a sound basis for fisheries management. Marine Policy, 96, 278-284.

【参考】
ネットプラス・リサイクル漁網


※この記事は、2022年12月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。

文=和田麻美子

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