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2023.01.01

ビンテージ衣料品の価値をNFTに転換、話題を呼ぶMNTGEの試み

Getty Images

ビンテージの衣料品をテーマに、他社とのコラボレーションでデジタルウェアラブルを作成するブランド、MNTGEが大きな話題を呼んでいる。しかも同ブランドは、まだローンチされてもいないのだ。

ニック・アドラー(Nick Adler)、ショーン・ウォザースプーン(Sean Wotherspoon)、ブレナン・ラッソ(Brennan Russo)という3人の創業者の構想からスタートしたMNTGEは、伝統と最先端のテクノロジーを融合させたブランドだ。そのベースにあるのは、ウォザースプーンが所有する4000点以上のビンテージ衣料品をデジタル化したレプリカだ。これには、レトロなジャケットから、ロックバンドのツアーTシャツ、さらにはカルチャーのリーダー的存在や業界のマニアなど、同好の士のコレクションに「インスパイアされた」アイテムもある。

面白くなるのはここからだ。もとになるアイテムを作成したアーティストやファッションデザイナーは、デジタル化されたピースに「INKS」を通じて、自らが創作したものであることを示すスタンプを付与する。このレイヤーが加わることで、衣料品が有効化される仕組みだ。

コラボレーターのラインアップはいまだに公開されていないが、手がかりを得たい場合は、創業者3人のこれまでの経歴やさまざまなコネクションが、ある程度のヒントになるはずだ。

アドラーはエンターテインメント業界で、アーティストとブランドがコラボレーションする大型案件をいくつもとりまとめてきた。ビジネスパートナーとして、著名ラッパーのスヌープ・ドッグと手を組み、ザ・サンドボックス、ユガ・ラボ、ノン・ファンジブル・ラボ(Non-Fungible Labs)といった企業に投資し、顧問も務めている。

ウォザースプーンは、ビンテージの衣料品コレクターであるだけでなく、デザイナーやクリエイティブディレクターとしても活躍しており、アディダス、ナイキ、ポルシェなどの有名ブランドとの共同プロジェクトの実績を持つ。ラッソはブランド体験の専門家で、アディダスで音楽とスポーツのコラボレーション企画の責任者を務めていた。

MNTGEは、Web3の世界とも非常に太いパイプがあり、ファッション界での声望も高い。MNTGEチームは12月21日、ツイッターのスペースでイベントを開催する。同社によるアルファシリーズのミントパス(mint pass)のリリースを記念するイベントだ(なお、このパスは衣料品につけられているタグのようにデザインされている)。

このイベントには、人気を集めるPFP NFT(Profile-Pic NFT=プロフィル画像NFTの略)プロジェクト「ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC:、Bored Ape Yacht Club)」の共同創業者ゴードン・ゴナー(Gordon Goner)や、グッチのロバート・トリフス(Robert Triefus)などが参加する。トリフスは、イタリアの著名ブランドであるグッチで企業およびブランド戦略を担当する上級副社長で、グッチ・ボールトとグッチ・メタバース・ベンチャーズの最高経営責任者(CEO)も務めている人物だ。

今後は、現実世界への展開、拡張現実(AR)フィルターの導入などを計画しているほか、スナップチャットとの統合、さらには総合運用性が向上すればさまざまなPFPプロジェクトを実行に移すという。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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