パートナーシップの対象としては、この記事で挙げてきたブランドが考えられるだろう。最終的な目標は、現実世界にあるピースを、そのデジタルツインとペアリングすることだと、アドラーは説明する。
現時点で、現実世界のビンテージピースは、元々の価格に100~300%ほど上乗せして販売されている。「コンセプトとしては、ミントパスによって、より公正だと我々が考える価格でアクセスできる権利を提供する、というものだ」という。
MNTGEは1年半前、ウォザースプーンがビンテージストア「ラウンド・ツー」を訪れた際の体験から生まれたものだ。アドラーは、こう振り返る。「彼(ウォザースプーン)から、あるTシャツに2000ドルの値がついていると聞いて、顎が外れるほど驚いた」。このTシャツは、ギルダンではなくヘインズのタグがついていて(ビンテージ衣料のファンならこの意味がわかるだろう)、いい感じに色あせていたうえに、ブートレグ(海賊版)だったのだ!
「こうした要素すべてによって、大きな価値が生まれていた」とアドラーは説明する。「彼の話から、特徴や来歴、レア度が重要なのだということがわかった。この点はNFTと非常に良く似ている」
そして次の課題は、ビンテージ衣料をいかにチェーンに載せ、可能な限り詳細かつ他にはない形でデジタル空間に再現するか、という点だった。
1500枚用意されたMNTGEのミントパスは、コレクションへのアクセス権を付与するとともに、今後計画されているさまざまな体験イベントやエアドロップ(マーケティングキャンペーンの一環として、自社で発行した仮想通貨やトークンを無償でユーザーに配布するイベント)への参加権もついてくる。12月14日に許可リストがリリースされ、残りのパスについては翌15日の一般抽選に回されるという。
MNTGEはビジネス計画としてかなり有望だ。中古アパレルの市場規模は2021年の時点で960億ドルで、さらに2026年までには2倍以上に膨らむとみられている。さらに、Web3の市場規模は2030年までに8150万ドルになると予測されているのだから、将来性があるのはおわかりだろう。
最終目標としてアドラーは、「ファッションのイノベーションを進め、サステナブルな未来志向のブランドを構築すること」を挙げた。
ツイッターのスペースを使ったMNTGEのイベントは、以前から週に1度のペースで展開されている。これまでに、MNTGEの顧問や投資家のなかから、人気アパレルサイト「ナスティ・ギャル」創業者ソフィア・アモルーソ、2017年に閉店した有名セレクトショップ「コレット」の共同創業者サラ・アンデルマン、スヌープ・ドッグの次男であるChamp Mediciことコーデル・ブローダス(Cordell Broadus)、元アディダスのジョン・ウェクスラー(Jon Wexler)などが出演し、1エピソード当たり2000人から1万人のリスナーを集めている。
MNTGEがツイッターのスペース上で主催する、グッチのトリフスとBAYCのゴナーが登場するイベントは、12月14日、米国太平洋時間午後4時(日本時間15日午前9時)から開催された。詳細は「www.mntge.io」を参照のこと。
(forbes.com 原文)