多くの調査が改善につながらない理由の一つは、ほとんどの企業が、「最も重要な1つの質問」を知らないことだ。どの調査でも、従業員がエンゲージメントを感じる理由、感じない理由を予測するうえで、他のどの質問より優れている質問が1つある。その質問は会社によって異なり、会社独自の文化、歴史、従業員の構成、リーダーシップのスタイルなどが影響する。
例えば、11月に開催された「Forbes Future of Work Summit(Forbes仕事の未来サミット)」では、パタゴニアの人事を統括していたディーン・カーター(Dean Carter)が、同社は従業員に対するエンゲージメント調査を、1つの質問で始めていたと述べた。その質問は、「(パタゴニアで)働いた結果、あなたの人生で得られたものは、あなたの人生から奪われたものより多いでしょうか」というものだった。「あの1つの質問は(中略)これまで尋ねてきたどの質問よりも重要だった」
パタゴニアの場合、従業員エンゲージメントを高めるうえでの最大の課題は、会社が従業員の生活から奪っているものより、従業員の生活に提供したものがどれだけ多いかだった。しかしあなたの組織では、それはおそらく最大の課題ではないだろう。あなたの従業員にとって最も大きな問いは、会社のビジョンを理解しているか、マネージャーが従業員の提案に耳を傾けてくれるか、人事評価が公正で正直か、といったことかもしれない。
従業員にとって最も重要な質問を確実に知るには、調査データを分析するしかない。最も有効な方法の一つが重回帰分析だ。
重回帰分析とは、1つの連続データ(目的変数もしくは従属変数)に対して,2つ以上の変数(説明変数もしくは独立変数)がどのように影響するかを知りたいときに用いる解析方法だ。言い換えれば、あなたの従業員にとって、どの問題が、従業員エンゲージメントを高める最大の要因かを明らかにするツールということだ。
重回帰分析をより深く理解するため、1つの例を紹介しよう。新しいジーンズを買うときを想像してほしい。どのような要素で判断するだろう?