権力にはその他の資源と同様に盛衰がある。英国のリズ・トラス前首相は9月、「世界で最も影響力のある女性」の注目リストに入っていたが、10月になると競走圏外になり、最終的には首相としての地位さえ失った。
ランキング最終版に選ばれるかどうかは、その人が実際に持つ権力の座と同様、こうした盛衰のタイミングに左右される場合が多い。
フィンランド首相のサンナ・マリンとニューヨーク証券取引所(NYSE)グループのリン・マーチン社長を例に取ろう。両者はそれぞれ、以前の「世界で最も影響力のある女性」ランキング発表のわずか数日以内に権力の座に着いた。
当時はどちらも就任から日が浅く、ランキングに選出されるほどではなかったものの、影響力が増していたことからフォーブスは注目の女性として挙げた。これは間違っておらず、2022年のランキングではマリンが83位、マーチンが46位に選出されている。
2023年の「世界で最も影響力のある女性」に新たに選ばれる人は誰だろう? それは時間がたたなければ分からないことだが、本稿では影響力が現在上昇中で、フォーブスが2023年に注目するだろう女性たちを紹介する。
エリザベット・ボルヌ
2022年5月、フランス史上2人目の女性首相に就任した。仏政府で2番目に影響力がある首相の地位にボルヌを任命したのはマクロン仏大統領だ。彼女は以前、フランスの交通担当相を務めたことがあり、在任期間中はフランス国鉄(SNCF)の年金改革を進めた。
フェイス・ムクトゥ
2022年7月、ザンビーフ(Zambeef)の最高財務責任者(CFO)から最高経営責任者(CEO)へと昇格した。同社はザンビア最大の牛肉処理企業で、中央アフリカの農業大手の一社だ。
ザンビーフは家畜飼料や製粉業向けとしてとうもろこしや大豆、小麦を生産している。ムクトゥは同社CEOとして、広大な範囲にわたる条播(すじまき)作物の栽培を監督し、アフリカでの同社の全体的な規模拡大を担ってきた。
マルタ・オルテガ
小売複合企業インディテックス(Inditex)は2021年12月、オルテガを会長に任命し、オルテガは2022年春に正式に同職に就任した。オルテガは同社の共同創業者であるアマンシオ・オルテガの娘で、長い間同社の次期リーダーと目されてきた。
オルテガは、サプライチェーン問題が続き、消費者が物価のインフレに敏感になっているこの時期に会社を引き継ぎ、ザラやマッシモ・ドゥッティなど影響力のある小売ブランドの成長を監督する役割を担っている。