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欧州

2025.01.31 16:00

ロシアのパイプライン圧送施設をウクライナの無人機が爆破 新種の爆撃機タイプか

ウクライナのアエロプラクト社製A-22「フォックスバット」軽量スポーツ機のコックピット。2019年6月、ロシア西部ウラジーミル(Sergei Lobkarev / Shutterstock.com)

ウクライナのアエロプラクト社製A-22「フォックスバット」軽量スポーツ機のコックピット。2019年6月、ロシア西部ウラジーミル(Sergei Lobkarev / Shutterstock.com)

ウクライナが激化させているロシアの石油産業を狙った攻撃に、新しいタイプの爆撃ドローン(無人機)が加わった可能性がある。29日から30日にかけての夜、ウクライナ無人システム軍第14独立無人航空機システム連隊が運用するものと伝えられるドローンが、ロシア西部ブリャンスク州のベラルーシとの国境近くで、ロシアと東欧・ドイツを結ぶ「ドルージバ(友好)パイプライン」のポンプステーション(圧送施設)を攻撃した。

ドルージバ・パイプラインは世界最大級のパイプラインで、ロシアで最も大きな収益を上げている産業の重要インフラのひとつだ。

攻撃で発生したとみられる火災は夜空をあかあかと照らし出し、米航空宇宙局(NASA)の衛星でも熱源が検知された。エストニアのアナリスト、WarTranslatedは「火災から判断すると攻撃は正確だった」と評している
ウクライナは2年前ほどからロシアの石油施設を攻撃してきた。ほとんどの攻撃は効率性を重視して、爆発物を搭載したドローンが目標に突っ込むというものだった。しかし、ウクライナの人気テレグラムチャンネル「ミコライウのワーニャ」(ニコラエフスキー・ヴァニョーク)によれば、今回のドローンは「爆弾で爆撃した」という。

ウクライナはかねて、国産のアエロプラクトA-22をはじめとする民生用の軽量スポーツ機を遠隔操作式に改造し、100kgの爆弾を胴体底部に装着可能なドローンを運用してきた。これまでは基本的に、爆弾を投下するのでなく、機体ごと目標に体当たりしていたとみられる。
これは、とくに遠距離の目標を攻撃する際には理にかなっている。爆発物を搭載したA-22改造型ドローンを往復させようとすれば、片道650km以上飛行するのは難しいかもしれない。しかし、片道だけなら1300km以上先まで飛んでいくことができる。実際、ウクライナのドローンはこれまで、ウクライナの前線からそれ以上の距離離れた目標を攻撃している。ドローンが帰還しないのなら、わざわざ爆弾を投下する必要はない。

29〜30日の夜の攻撃で目標とされたポンプステーションは、ウクライナから40kmほどしか離れていない。したがって、ドローンの航続距離・時間はあまり考慮する必要がなかったと考えられる。つまり、使われたドローンには、目標の上空で爆弾を投下し、基地に戻って来るという選択肢があった。

もっとも、ドローンは実際には基地に戻らなかった可能性もある。戦時中のドローンの運用で、遠隔着陸というのは難易度が高い操作の部類に入る。操縦士は爆撃ドローンを夜間に安全に誘導しようとして失敗するよりも、爆弾投下後、そのドローン自体も目標に突っ込ませることを選んだかもしれない。爆弾と機体による一種のダブルタップ攻撃だ。

いずれにせよ、ウクライナの比較的大型の長距離攻撃ドローンは爆弾の投下も可能なのだとすれば、片道の自爆任務だけでなく、往復の爆撃任務も可能だということになる。もちろん、地上の操縦士側がドローンをうまく着陸させる方法を見いだしているのであればだが。こうしたドローンは従来のような使い捨てでなく、製油所やパイプラインの施設を繰り返し爆撃できる再利用可能な兵器になる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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