科学者たちは、地上と宇宙の何十もの望遠鏡を使って系外惑星を探し、今では生命の兆候を見つけるために惑星の大気を研究することさえできる。発見された惑星のほとんどが、小さくて暗い赤色矮星を回っているのは、明るい太陽類似星を周回する天体を研究することは現在の技術では困難だからだ。
惑星科学の次の大きな目標は何か? もちろん、系外惑星に探査機を送り込んで表面を調べることだ。
プロジェクトRIGEL(Robotic Interstellar GEologicaL probe)は、太陽に似た星を周回する惑星に向けて、時空を超える壮大な旅に「ロボット地質学者」を送り出す計画だ。
しかし、1つ小さな問題がある。たとえ天文学者の知る最も近い太陽類似星であるくじら座タウ星を目標に選んだとしても、探査機がそこへ到達するまでには、現在のテクノロジーでは約1000年かかってしまう。
しかし、それはプロジェクトRIGELの責任者であるニューヨーク州シラキュースにあるルモイン・カレッジの惑星科学者フィリップ・ホーゼンパを諦めさせるには十分な理由ではなかった。同氏は今秋、この野心的多世代ミッションの詳細を概説する白書を公開した。
系外惑星に着陸し、その表面を動き回ることを目的とするプロジェクトRIGELは、簡単ではないが、その膨大なエンジニアリングの挑戦こそ、このミッションを招集すべきであり、今すぐ実行する理由の1つであると、白書は実に明快に述べている。「歴史上初めて、地球発の探査者が系外惑星の地表を歩き回ることができるのです」と白書には書かれている。ただしそれは、人類の代理を務める「地質学者アバター」という機械だが。
計画では、約10光年先にあるくじら座タウ星系の惑星の1つを訪れる。そこは地球に最も近い恒星系である可能性が高く、属している温暖で岩石質の惑星は地球や火星に少し似ているが、それを確認するためには調査が必要だ。エンジニアリング的な課題は、宇宙船の速度を現在可能なものよりはるかに上げることだ。彼は技術チームに対して、秒速3200キロメートルを目指して欲しいと伝えている。これは光速の1%よりわずかに速い。
原子力を利用した探査機ニューホライズンは、これまでに地球から打ち上げられた最速の宇宙船で、2015年に冥王星の近くを通過し、現在は彼方のカイパーベルトにいる。ニューホライズンが達成した速度が秒速16キロメートルだった。「そのレベルのエネルギーを実現するためには、集中した技術的努力が必要です」とホーゼンパはいう。機体を超軽量にするのはもちろん、必要とされる驚異的スピードに達するためにはおそらく熱核爆発衝撃波の利用が必要だろう。しかも、目標の系外惑星の軌道に進入するためには、十分減速する必要もある。