逆風と追い風
本稿で取り上げるすべての企業に共通する逆風は、引き続き変化している需要環境に加え、パンデミックによる規制が緩やかになり、小売業者が状況を改善するための技術改革を停止する可能性がある点です。また、現在のインフレ環境による混乱と、迫り来る景気後退の可能性により、企業が将来のIT計画に関して慎重なアプローチを取る可能性があることです。
Impact Analyticsは、製品ラインを絞ったイノベーターであるため、幅広いソリューションを提供する大手グローバルソフトウェアベンダーと競合し、顧客企業が複数の業務分野をカバーするためにそうしたプラットフォームに留まる可能性があることが逆風の一つです。
しかし、需要予測は在庫の正確性、業務効率、運転資本の活用、そして最も重要な顧客満足度への影響が大きいため、小売業者にとって需要予測を把握することはますます急務となっています。多くの消費者は、買い物に行く回数を最小限に抑え、より少ない回数で包括的に買い物をすることを求め続けています。生活必需品(またはそれに近い代替品)が品切れである場合、顧客は購入せずに店を後にし、二度と店に戻ってこなくなる可能性があるからです。
既存プレイヤーへの影響
多くの既存ソフトウェア企業は、幅広い製品ポートフォリオを有しているため、すべてのソフトウェア・カテゴリーにおいてリーダーである可能性は低く、これらの機能は、特定のカテゴリーにおけるリーダーによって取って代わられる可能性があります。中でも、需要予測はサプライチェーンと在庫管理の中心的な機能であるため、小売業者はこのカテゴリーに集中的に取り組むリーダー的なチームを持つ企業を選択することが望ましいと思われます。
また、プラットフォーム企業は、顧客が自社のプラットフォームを使い続けることを推奨していますが、今日の小売業者は、様々な企業の複数のプラットフォームを運用しています。現在のソフトウェアはモジュール化されているため、自由に組み合わせて使用することが可能です。
Impact Analyticsの需要予測ダッシュボード画面
2. Persado
Persadoは、NLP(自然言語処理)の専門家、データサイエンティスト、言語学者、マーケティングの専門家からなるチームにより、企業の成長を促進するためのスコア付きの単語やフレーズの膨大な情報基盤を構築しています。同社は、これまでに1億通のメッセージを配信し(2022年半ば時点)、それにより顧客エンゲージメント全体のコンバージョンを41%増加させ、収益の増加や差別化されたブランドとのインタラクションを促進しことを報告しています。
同社は、自社のプラットフォームを「モチベーションAI」と呼んでいますが、これは「個人を感情的に引き付け、行動を活性化させる要因を特定し、活用する機械能力」のことを指します。
図3. Persadoの主要データ
出典:Crunchbase/Coresight Research