開発進む「インフル万能ワクチン」、実用化へ政府は支援策を

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実用化・普及には政府の助成がカギ


実験はまだ始まったばかりで、今後、ヒトでもこのワクチンの安全性と有効性を検証していく必要がある。ただ、それにははるかに多くのコストがかかり、いつ実施されるのか、あるいは実施できるのかどうかも現時点では判然としない。

インフルエンザの万能ワクチンができれば、現在行われているような毎年のイ予防接種は不要になるかもしれない。では、その実現はいつごろになりそうなのか?

ここに難しい問題がある。こうした新型インフルエンザワクチンは、たとえヒトを対象とした試験で完全に機能することが確認されても、わたしたちはそれを入手できないかもしれないのだ。どういうことか。

現状では、ワクチンの開発はもっぱら民間企業任せになっている。新型コロナのパンデミックが始まると、米政府はワクチンメーカーに大量購入を約束することで開発や製造に向けたインセンティブを与え、幸いこれは功を奏した。ところがインフルエンザの万能ワクチンの場合は、政府側からのこうした働きかけはこれまでまったく行われていない。

mRNAワクチンはじめ、ワクチンという、公衆衛生上きわめて重要な技術を民間の営利企業に依存している状態は見直す必要がある。インフルエンザの万能ワクチンについても、新型コロナウイルスのワクチンの場合と同様に、政府が介入して広く入手できるようにしていく時ではないだろうか。

万能ワクチンが実用化されれば、毎年、何万、何十万という命が救われるようになるはずだ。そうなることをぜひ期待したい。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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