9割以上は使い捨て 循環型社会のためにデザインには何ができる?

パーツごとに修理や取り換えをして使える「Repeat Audio」社のヘッドフォン

アムステルダムを拠点に、デザインを通じたさまざまな課題解決に取り組む団体「What Design Can Do(WDCD)」が、イケア財団とともに新たなデザインコンペ「サーキュラーチャレンジ(Make it Circular Challenge)」を立ち上げた。

大量生産・大量消費の中で生み出されてきたデザインに代わる、循環型社会の実現に向けた新しいデザイン・ソリューションを募集中だ(2023年1月31日締め切り)。

サーキュラーチャレンジの背景


WDCDは地球規模の課題の中でも、とりわけ気候変動対策に関する取り組みに注力している。昨年は、地球規模のゴミ問題に焦点を当てた「ノー・ウェイスト・チャレンジ(No Waste Challenge)」を実施。オランダ、ケニア、インド、日本など各地でアイデアがエントリーされ、優勝者らにさらなる改善と開発に向けた資金や支援が提供された。

今年のサーキュラーチャレンジは、気候変動対策に関してのスコープがより広がっている。

コロンビア・クライメート・スクールの調査によると、温室効果ガス排出の45%が、日常的に使用する製品の製造過程で生み出されるという。循環型社会の実現のために、私たちの暮らし全体のあり方を見直す必要がある。WDCDは暮らし全体を見直すためのアプローチとして、衣・食・住、そのほかの消費、そしてパッケージからなる5つの領域を明示している。

食に関しては、食品ロスの問題が注目を集めているが、他にも、世界の海洋魚資源の約90%が乱獲されているという問題や、温室効果ガス排出のうち約15%が畜産によって排出されているという事実がある。また、オーガニック野菜などの安全安心で体に良い食べ物は、高価格で、供給が行き届かないという課題もある。


大量消費の直線的なモデルから、循環型への移行が期待される

大量生産・大量消費の課題は、衣料・ファッションの領域においても切迫した問題である。WDCDの調査によれば、ファストファッションの約半数が1年以内に廃棄される。リサイクルされる衣料品は1%以下。H&Mやユニクロなどの企業は独自のサステナビリティの取り組みを打ち出しているものの、そもそものビジネスモデルが大量消費に基づいており、そこには矛盾が存在する。
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文=MAKI NAKATA

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