循環型社会を実現するための3つの原則
WDCDは、サーキュラーチャレンジの立ち上げにあたり、循環型社会を実現するための3つの原則を示す。
1つ目が、ずっと使い続けることができるようなものづくり(Built to last)、2つ目が、自然を搾取するのではなく、自然からの学びを生かしたアプローチ(Work with nature)、そして3つ目が、新たな素材を使って生み出すのではなく、あるものを使うこと(Use what exists)。
こうした原則は、当たり前のことのように感じられるが、世界経済において循環型と呼べる活動の比率は8.6%というのが現状。逆にいうと、9割以上が、作られて捨てられるという直線的な消費モデルに基づいている。
だからこそデザイナーの画期的なアイデアが求められる。WDCDは、サーキュラー・チャレンジへの応募対象は、プロダクトやビジネスアイディアに限らず、人々の価値観を変えるようなキャンペーン、ムーブメント、映画なども含まれる。
循環型社会の実現とは、循環型経済(ビジネス)の実現を超えて、暮らしのあり方全体に関するものだ。日本に旧来存在した里山の暮らしは、循環型社会のモデルの一つとして、いま改めて注目されている。英語でも「Satoyama」という日本語がそのままローマ字表記され、広まりつつあるようだ。
一方、日本においては、便利という魔法の言葉とともに、24時間営業のコンビニエンスストアやスーパーマーケット、100円均一ストアといったビジネスを拡大させてきた経緯もある。過剰包装の問題も、他国から見ると異常に捉えられることが少なくない。
日本発の循環型社会の実現のためのアイデアとは?
昔ながらの暮らしや価値観、風呂敷などといった「エコな」生活用品に、改めてスポットライトを当てるようなデザインソリューションに、いま世界が期待している。WDCDのサーキュラー・チャレンジは、日本からの新たなイノベーションを生むきっかけになるかもしれない。