実は、彼らもそう考えていたことがわかった。
NY Times(ニューヨーク・タイムズ)が報じたところによれば、Meta(メタ)の従業員の1人が「Twitterは危機に瀕しているいま、Metaはその魅力を取り戻す必要がある」と投稿したという。「彼らの持つ大切なものを手に入れよう」
もしMetaのマーク・ザッカーバーグCEOが、彼自身のカリスマ性を取り戻し、時期尚早で悲惨なこれまでのメタバースへの浮気から復活したいのならば、それを実行するだろう。だが、そのとき彼はそこでは満足しないだろう。なぜなら、もしザッカーバーグがメタの真の競争優位性と現在の競争力の低迷を本当に理解しているならば、Metaの一本の茎から本当に永続的で持続的な価値を持つようなたくさんの花を咲かせるはずだからだ。
私が言っているのは、もちろんフレンドグラフの話だ。
競争に直面したときのザッカーバーグのこれまでの戦略は「上書き」「吸収」「追加」だった。これがFacebookに腐るほどたくさんの機能や共有手段がある理由だ。ストーリー、リール、ポスト、メッセージそしておそらくすぐには思い出せない他の機能が存在する。そしてそれこそが、Facebookがプラットフォームとして、TikTokに対して負け続けている理由だ。TikTokは、基本的にワンアクション(次に行くにはとにかく親指でフリップ)で、よりシンプルな、つまりより没入的で混乱しないユーザー体験を提供している。
Facebookの思考はこんな感じで回って来たように思える。
まずX(何か)が世界に登場する
→XはFacebookにとって脅威だ
→Xは私たちがすべきことだ
→よし、FacebookアプリにXを追加しよう
その結果、そのようなXがたくさん含まれることとなった。
・FacebookとInstagram(インスタグラム)のストーリーはSnapchat(スナップチャット)から拝借したもの
・FacebookゲームはYouTube(ユーチューブ)やTwitch(トウィッチ)と競合する
・FacebookデートはTinder(ティンダー)やMatch(マッチ)からの拝借
・Facebookプレース(チェックイン機能)はFourSquare(フォースクエア、現Swarm[スウォーム])にインスパイアされたもの
・FacebookグループはReddit(レディット)からコピーしたもの
・FacebookライブはPeriscope(ペリスコープ)(Twitterに買収されて没落)に触発されたもの
・WhatsApp(ワッツアップ)の暗号化チャットはSignal(シグナル)のおかげ
・Facebookのメタバース基盤であるHorizon(ホライズン)はSecond Life(セコンドライフ)から拝借したもの
・マーケットプレイスはeBay(イーベイ)とCraigslist(クレイグリスト)を借りたもの
これらはすべて、自分たちは、偶然にあるいは意図的に、世界的に巨大で重要になった何かを作り上げてきたのだという単純な考えだ。新しいものが出てきて成長し、それを好む人がいたら、自分たちの成功を脅かすかもしれない。ならばまったく新しいことを始めて失敗するリスクを冒すよりも、今までの成功したことにこの新しいことを加えていこう……と考えるのだ。