テクノロジー

2022.12.12 09:30

Metaが新たなTwitterを開発すべき、しかしただ作るだけじゃダメだ

安井克至

そう、失敗もたくさんあった。

・Hobbi(ホビー)
・Lasso(ラッソー)
・Slingshot(スリングショット)
・Riff(リフ)
・Rooms(ルームス)
・それ以外にもたくさん……

Twitterは何千人もの従業員や契約社員をぞんざいに解雇した後、いくらか安定したように見えるものの(広告や収益化の問題は継続しているが)、まさにここにMetaが自らを再発明する機会が潜んでいる。そしておそらくそれは、驚くべきことに、ザッカーバーグの当初からの計画の一部を踏襲しているのだ。少なくとも過去のある時点でザッカーバーグは、Facebookをインターネットにソーシャルサービスを提供する基本サービスとみなしていた。つまり、すべてのウェブサイトやアプリ、私たちがデジタルで生息する仮想空間にソーシャルレイヤーを提供する存在だ。

そのフレンドグラフを新しいアプリにインポートすることで、新しい体験の中ですぐにコミュニティを作れることを想像して欲しい。独禁法があるので、すべてのアプリにというわけではないが、これはMetaが提供する新しいアプリに当てはまる。

そして不要なものを削ぎ落として行けば良いのだ。

・スタンドアロンアプリだが、友達といっしょに楽しめるReels(リール)とか
・オリジナルのInstagramと同じだがストーリーがなく、フレンドグラフとフォロワーを持つInstagram Pure(インスタグラム・ピュア)とか
・ソーシャル機能を抜きにしたマーケットプレイスだけとか
・などなど…

既存のFacebookアプリのような巨大な塊はそのままで、もっとシンプルでピュアなものを好む人たちは望むものを手に入れることができる。これは、Facebookの範囲と規模、ユーザーに圧力をかける目まぐるしさに疲れを感じている既存のユーザーを、引き留める可能性がある。そうした可能性はたくさんあるし、Facebookの最近の収益減少のすべてを、都合よくAppleのプライバシーポリシーのせいにできるわけではない。

おそらくもっと重要なことは、そうすることで、新しいもの、革新的なもの、おもしろいものを作りたいと考える何万人もの優秀なメタ社員が自由になり、それらを実行できるようになることだろう。そして一般ユーザーは、フレンドグラフを捨て去ることなく「いいね!」を押したり、利用したりすることができるようになる(Facebookが開発しているユニファイドメッセージングが、ここでの重要な要素となる)。

なぜ人々はFacebookに留まるのだろうか?

大きな理由は、友人や家族がそこにいるからだ。それこそが真の価値であり、現在のFacebookアプリやFacebookエクスペリエンスそのものに価値があるわけではない、

Metaは新しいTwitterを作るべきだ。とはいえ、Metaは100の新しい体験を100の方法で構築すべきなのだ。その多くは失敗するだろう。それこそがイノベーションの本質だが、ソーシャルスペースでの競争がFacebookにはやや欠けている。しかし、その中には成功するものもあれば、新たな巨大なチャンスとなるものもありそうだ。おそらくオリジナルのFacebookは死んでしまうかもしれないが、他に多くの成功プロジェクトが生まれるのであれば、会社としてのMetaにとっては問題ないだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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