一見「持たない暮らし」は環境にやさしいように見えるが、実はサステナビリティと相反するところもあるのだ。
今回は、ミニマリストがサステナブルであるか考えてみよう。
ミニマリズムとは?
「ミニマリズム」はアートから生まれた言葉だが、今では、持ち物を減らし、必要最小限の物だけで暮らす生活スタイルやその考え方を指すことが多い。
大量生産・大量消費の現代社会において、大切な物が多くの物に埋もれてしまって生きづらさを感じる人が増え、多くの人に支持されるようになった。
無駄な消費を減らすという意味では、非常にサステナブルなライフスタイルであると言える。
「所有を減らす」≠「ゴミを減らす」
しかし「所有を減らす」=「ゴミを減らす」でないことは理解しておかなければならない。
エコバッグやマイボトルなど、ゴミを減らすために所有するものは確かにあるのだ。
ミニマリストの中には、物を減らすことを徹底するために使い捨てのお箸やカトラリーを毎食使っている人もいる。
個人のライフスタイルを非難する意図はないが、必ずしも物を減らすことがサステナブルではないとわかるだろう。
服は少ないほうがいい?
ミニマリストは少ない服で着回す人が多いが、1年間で1回も着ない服が1人あたり25着もあることを考えると、服の数を減らすという考え方はサステナブルである可能性が高い。
しかし、服は基本的に消耗品であるため、同じ服を何度も着る分早くボロボロになるだけでなく、洗濯の回数が増えて水・エネルギーの消費量とマイクロプラスチックの排出量が多くなる。
環境意識が低いミニマリストには、飽きた服はすぐに捨てて買い替えるという人もいるようだ。
「捨てる」ことへのイメージ
ミニマリズムとサステナビリティの大きな違いは「捨てる」ことへのイメージにある。
ミニマリズムにおいては「断捨離」という言葉があるようにポジティブな印象を受けるが、環境への取り組みにおいてはゼロウェイストの考え方に反していてあまり良い印象を受けない。
環境に配慮している人は、不要になった物を人にあげたり、リサイクルに出したり、手放す方法にもこだわるのだ。