最後に、「Humanity」では、取引先からの行動規範同意書の取得率 100%を目指す。これは、サプライチェーンの透明性を高めて人権侵害を防ぐことを目的としたもので、2022年3月に策定した。これにより、工場で働く方々の人権の尊重や適正な労働環境の整備、トレーサビリティの確立に向けて、業界全体のリテラシー向上も図る。
また、「従業員エンゲージメントスコアを80%に向上」「課長以上管理職に占める女性の割合を30%以上に」も掲げる。松崎は、従業員満足度は重要な課題であると語る。
「ファッション業界の仕事が魅力的であるかどうかは、働く従業員が満足して働けているかどうかにもかかっています。これまでは、特に店舗の販売メンバーを取り巻く環境は悪くなりがちでした。コロナ以前は営業時間も長時間化傾向にありました。商業施設側とは、日頃から営業時間の適正化、店休日の設定、休憩室の充実化など、メンバーの働く環境の整備に向けて話し合いを続けています」
プロパー販売比率を高めブランド価値をあげる
10月に「SARROWS」という名称が生まれたのは、活動をアイコン化するイラストを制作することで、親しみやすさを醸成し、消費者やステークホルダーらが賛同・参画したくなる取り組みへと進化させる目的があったから。今後は、話題性の大小にかかわらず、目標の達成状況などを積極的に情報発信していく。
コロナ禍でアパレル全体の売上が落ち込んだ時期は「業界で当たり前になっていた“つくりすぎ”について見直す機会にもなった」と松崎。過剰な供給は、CO2も過剰に排出し無理な生産形態も引き起こすため、適正な供給量を図っていくことが業界全体の課題として注目されている。
「我々が最も重要視しているのは、プロパー販売比率を究極まで高め続けることです。値引き販売の常態化はお客さまのブランドへの信頼を損ねることになり、それはサステナブルとはいえません。商品やサービスを磨き上げ、プロパー販売比率を高めることこそが、持続可能なビジネスにもつながり、世の中への貢献でもあると思っています」