経済・社会

2022.12.02 13:30

ウガンダのエボラ出血感染は沈静化へ、保健省は警戒を継続

ウガンダにおけるスーダン型エボラウイルスによる最初の死亡例は9月19日に報告されているが、このウイルスに対するワクチンはまだ開発されていない(Getty Images)

ウガンダにおけるスーダン型エボラウイルスによる最初の死亡例は9月19日に報告されているが、このウイルスに対するワクチンはまだ開発されていない(Getty Images)

ウガンダで続いているスーダン型エボラウイルス感染は、伝染状況が収拾しつつある兆候を示している。

11月28日、ウガンダ保健省は妊娠中に感染した死産児の死亡を報告した。母親はエボラ生還者であり現在健康状態は良好であると報告されている。

この不幸な症例を除き、ここ数週間のエボラに関するニュースは概ね肯定的だ。

世界保健機関(WHO)の状況報告書によると、症例は減少傾向が続いており、現在エボラ専用処置施設で治療を受けている患者は6例のみだ。


2022年ウガンダ・エボラ流行の日別感染者数。出典:61st Ebola Virus Disease situation report (25 November 2022).WORLD HEALTH ORGANIZATION AND MINISTRY OF HEALTH UGANDA

症例死亡率で見ると、エボラは最も致死率の高いウイルスの1つだ。現在の流行では死亡者が56名、回復者が80名で症例死亡率は39.4%となっている。これはエボラ感染の平均値である65.4%よりも低く、スーダン型エボラウイルスの他地域での流行の平均値よりも低い。スーダン型は、2014~2016年に西アフリカで大流行し、より多くみられるザイール型エボラウイルスよりも致死率が低い傾向にある。

エボラ熱の流行を抑制するためには接触者確認がきわめて重要だ。急性感染の潜伏期間(人が感染してから症状が現れ始めるまでの日数)は最大21日間と推定されている。残念な統計値の1つが、接触者の追跡率が、10月、11月の95%前後から70%に下がっていることだ。過去数週間に症例が減っていることは、追跡すべき接触者が少ないことを意味してはいるが、まだ多数の不明者がいる。もしその集団の中で感染が起きると、第3波の原因になる可能性がある。


ウガンダの2022年エボラ感染における追跡対象者の週平均接触者数。出典: Ministry of Health Uganda and World Health Organization situation reports (21 November 2022).WORLD HEALTH ORGANIZATION

ウガンダは蔓延防止対策としてロックダウンも実施しており、最も感染者の多いムベンデ県とカサンダ県で最近ロックダウンを延長した。ロックダウンには、夕暮れから夜明けまでの外出禁止、個人旅行の禁止、市場の閉鎖などが含まれており、新たな症例が見つからなければ12月17日に解除される予定だ。学校は国全体で休校が続いている。9月に始まり複数の県に急速に蔓延したこの流行の早い収拾は、医療システムが堅固な状態にあり、破滅的流行が不可避ではないことを示す明るい兆候だ。しかし、再流行を防ぐために、保健省は引き続き警戒を怠ることなく、少なくとも年内は監視を続ける必要がある。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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