大半の検査にはある程度、「偽陰性」または「偽陽性」の結果が出る可能性がある(妊娠検査薬もそうだ)。新型コロナウイルスの場合、実際に感染しているにもかかわらず、陰性の結果が示されるリスクはどの程度あるのだろうか?
米国軍保健科学大学のジェラルド・W・フィッシャー教授(小児感染症)はこれについて、「抗原検査やPCR検査など、検査の種類や、感染の段階によって異なる」と説明する。ウイルスが複製を始めたばかりの感染の初期の段階にある場合、抗原検査では偽陰性の結果が出る可能性が高くなるという。
米疾病対策センター(CDC)が今年1月初めに発表した研究結果によると、抗原検査で偽陰性の結果が出る確率は、症状がある人の場合で20%。無症候性では59%だった。つまり、実際には陽性であるにもかかわらず、陰性と判断されるリスクは、高いといえる。
フィッシャー教授は、より感度の高いPCR検査を受けることで、誤って陰性と判断される危険性を低減させることが重要だとして、次のように述べている。
「新型コロナウイルスの経口抗ウイルス薬の承認が近づく中、症状の有無にかかわらず、偽陰性の結果が示される可能性を最小限にまで抑えることが極めて重要だ」
米製薬大手メルクが(先ごろ米食品医薬品局に緊急使用許可を申請した)新たな経口抗ウイルス薬「モルヌピラビル」は、新型コロナウイルスの増殖を抑制するものであり、ウイルスの検出が早いほど、病気の進行も、人にうつすことも、より効果的に抑え込むことができるという。
ウイルスは他にも多数
パンデミックによる混乱に陥ってから1年半以上がたつ中、多くの人は典型的なものとされる症状が出れば自動的に、自分がこのウイルスに感染したのではないかと考えるだろう。
だが、覚えておかなければならないのは、新型コロナウイルスが見つかる以前から、感染症を引き起こすウイルスは他にも複数が存在しており、それらは現在も、私たちの間で感染を広げているということだ。