日本のお客様の宇宙保険を引き受ける際も、海外のロケット、人工衛星と同様のリスクであるため、海外の宇宙保険市場での保険料レベルを考慮する必要があります。お客様に保険に加入していただきたいからといって安すぎる保険料を設定することはできません。宇宙保険のマーケットに精通して、適切なレートを出すのは、保険会社の腕の見せ所なんです!
挑戦を保険で後押し
せりか:伊藤さんがやりがいを感じるのはどんなときですか?
伊藤さん:挑戦する人を保険で後押しできたときです。
私も色々なことに挑戦してみたいとは思いつつも、少し身体が弱くてできなかったり、機会に恵まれなかったり……なんだか一人でできることは限られていることに気付きました。挑戦する人を応援できる損害保険は、私がやりたいことにあっていていいなと思ったので損保ジャパンに入社しました。
例えば、私は美術観賞が好きで、会社としても損保ジャパン本社ビル敷地内の「SOMPO美術館」でポスト印象派の巨匠ゴッホの《ひまわり》を常設展示していますが、美術品の展示にも損害保険が必要です。収蔵品をほかの美術館にも貸し出して、より多くの方に観賞してもらうのは美術館の重要なミッションですが、運送保険がなければ、数億、数千万円もするような美術品を運送する業者は見つからないかもしれません。
SOMPO美術館 展示室風景
万が一の場合に壊してしまうのが嫌だから、展示会を開けないなんて、もったいないじゃないですか。
せりか:それは、宇宙業界でも同じことが言えそうです。新しいことに挑戦すると、上手くいかないことも出てきますがそれを恐れているばかりでは、先に進むことはできません。
©︎小山宙哉/講談社
伊藤さん:誰も自ら失敗をしようとしているわけではありませんからね。挑戦の過程で実績が積まれていくのをパートナーとして後押ししていければと思っています。
日本では言霊を気にする方も多くいらっしゃるので、損害保険や事故という言葉を出すと「縁起でもない」と嫌な顔をされる方も一定数はいます(苦笑)。損害保険をネガティブなものではなく、挑戦するために必要なものだと認識していただけると嬉しいです。
宇宙スタートアップとタッグを組んで、発災時の保険金支払いをスピード化
せりか:宇宙保険引受のほかに取り組んでいることはありますか?
伊藤さん:小型SAR衛星コンステレーションの運用や衛星データを活用したソリューションの提供を手掛けるSynspective(シンスペクティブ)社と協業させていただいています。
Synspective社の衛星データを当社の保険金支払いサービス向上に活用できないか検証を進めているところです。