ハワイのマウナロア火山が噴火、溶岩や火山灰、「ペレーの毛」浮遊の危険も

Getty Images

世界最大の活火山が一夜のうちに噴火を始めた。ハワイ島の巨大火山、マウナロアはここ数カ月間すでに落ち着きを失っていた。米国時間11月28日の昼頃、多くの島民が空に広がる不気味な赤い光の画像をシェアしていたが、噴火による溶岩は頂上付近にとどまっている。

しかし、状況が急激に変化することはこの火山の歴史が教えている。そして島民や観光客の心配事は流れ来る溶岩だけではない。以下に危険の概要を記す。

流れ来る溶岩


現時点で人々や建物に対する溶岩による即時の脅威はないが、過去にはわずか数時間の間に溶岩が何マイルも覆ったことがあり、傾斜を下って海に達し、途中にあるものすべてを破壊した。

溶岩に直面するリスクが最も大きい地域は、島の南西部に伸びる人口密集地域と頂上東側の学園地帯ヒロの情報だ。

頂上の主要カルデラ地帯を中心に存在する地下マグマが、リフトゾーン(火山の山腹の細長い割れ目地形)に流出する恐れもある。それが他の地点での噴火を引き起こす可能性は予測困難だ。そのような噴火は、2018年に同島の隣接するキラウエア火山で起き、多くの住宅を破壊した。28日現在、USGS(米国地質研究所)はマグマのリフトゾーンへの明確な移動は報告していない。

火山灰とペレーの毛


おそらく進行する噴火による最も差し迫った遍在的影響は、近隣コミュニティへの火山灰の降下だろう。国立気象局ホノルル支部は、28日午前に全島を対象に降灰警報を発令し、最大1/4インチ(約6.3ミリメートル)の火山灰が地面に積もる可能性があると発表した。

USGSは微細な灰についても警告している。呼吸器系および一部の機器にとって特に危険であり、それとともに「ペレーの毛」と呼ばれるものが浮遊する可能性がある。ペレーの毛は具体的には火山ガラスの細い糸であり、噴火の際にカルデラ内で起きるガスとの化学反応によって作られる。小さなガラスの破片が空中に散乱し地面に積もることの危険は想像に難くない。これが肌や目や肺に触れさせることは極力避けなくてはならない。

火山スモッグの恐れも


溶岩と火山灰とガラスに加え、噴火は火山ガスを大量に噴出し、ときとしてそれはvocanic smog(火山スモッグ)あるいは「vog(ヴォッグ)」と呼ばれる。ヴォッグには二酸化硫黄や酸性粒子が含まれ、噴火とともに目に見える煙霧が発生することもある。

USGSによると、ヴォッグは健康に悪影響をおよぼし、農作物を損傷し、酸性雨を降らせるという。

今はまだ非常に早い噴火段階であり、 実際マウナロアはは長らく待機状態にあった。この火山は過去2世紀にわたって30回以上噴火を繰り返してきたが、最後の噴火は40年近く前の1984年だった。

最新情報はUSGSの噴火ページを、緊急時の対応方法については地域の民間防衛ページを注目されたい。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事