中国が発表した今回の計画は、COP27開会挨拶で国連のアントニオ・グテーレス事務総長が示した、環境危機を激しい言葉で警告するメッセージとは著しく対照的だ。この挨拶の中でグテーレス事務総長は、各国の代表団に対し、環境に関する悲惨な運命を回避するためには、大胆な行動が不可欠だと呼びかけていた。
「我々は生死をかけた戦いのさなかであり、しかも敗北しつつある」とグテーレス事務総長は述べた。「温室効果ガス排出量は増加を続け、世界の気温は上昇し、気候変動による混乱が取り返しのつかないものになる瀬戸際へと急速に近づいている。(中略)我々は、気候の地獄へと向かう高速道路を、アクセルを踏んだまま走っている状態だ」
中国が石炭火力発電を大幅に拡大する計画を明らかにしたことから見ると、「地獄へと向かう高速道路」という事務総長の警告は、中国政府には響かなかったようだ。ただし、公平のために言えば、中国当局者は単に、他の多くの国の政府が現在行っていることと同様に行動しているにすぎない。つまり、世界的な気候に関する目標よりも、国家安全保障やエネルギー安全保障を重視しているだけだ。これは、危機を煽るレトリックだけでは変えることのできない、自然な欲求と言えるだろう。
(forbes.com 原文)