既存のモノクローナル抗体薬とそれらの「カクテル」が、これらのウイルスが細胞に侵入することをどれだけ有効に防げるか調べたところ、いずれの抗体薬も「BQ.1.1」には有効性が確認されなかったという。
これは、ウイルスが「学習」し続けており、既存の治療薬の効果を低減させる能力を高めていることを意味する。変異の頻度が高いウイルスは、人に感染し、その体内で複製を続けながら、新たな変異株を生み出し続けているということだ。
新たに出現する変異株は、それまでに登場した株より感染力が弱く、それほど急速に感染を広げないものになる可能性がある。だが、これほど数多くの変異株やその派生型が存在すれば、少なくともその一部は、より短期間のうちに感染を拡大させ、それまで有効だった治療薬に耐性を持つようになると考えることができる。
つまり、私たち人間は、楽観してはならない。パンデミックへの対応は、「武器はないがスパイクはある」相手との軍拡競争のようなものだ。一定の治療薬を過度に使用すれば、それらに耐性を持つ新たな変異株を、より短期間のうちに、より数多く生み出すことにつながりかねない。
政府や企業は新たなモノクローナル抗体薬の開発に向け、より多くの研究を支援する必要がある。そして同時に、ワクチン接種やマスクの使用、ソーシャルディスタンスの確保など、治療薬への依存を減らすための対策を継続する必要がある。
(forbes.com 原文)