シドニー寄港のクルーズ船でコロナ集団感染、「2年前」との違いは?

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乗客・乗員およそ4600人を乗せてニュージーランドを出発、12日をかけてシドニーに到着したクルーズ船「マジェスティック・プリンセス」で、800人以上の新型コロナウイルスへの感染が確認された。検査では偽陰性が出る可能性もあることから、実際にはより多くが感染していた可能性もある。

「クルーズ船で集団感染」と聞けば、2020年のパンデミック発生当初を思い出す人も多いかもしれない。同じシドニーに到着した「ルビー・プリンセス」や、横浜に寄港した「ダイヤモンド・プリンセス」など、複数のクルーズ船で発生した集団感染では、多くの人が重症化し、死亡した人もいる。そのためクルーズ船の運航会社は2020〜21年の大半の時期において、運航を中止することとなった。

だが、2022年の現在、再び当時と同じことが起きると考える必要はないだろう。すでに多くの人が初回(種類によって1回または2回)のワクチン接種を受け、追加接種も受けている。状況は当時とかなり違っている。

反ワクチン派の著名人やSNSのアカウントが広める情報とは異なり、これまでの研究結果では、ワクチン接種を受けた人が感染後に入院したり死亡したりするリスクは、大幅に低下するとの結果が示されている。

「マジェスティック・プリンセス」に乗船していた人のうち、何割がワクチン接種を受けていたか、追加接種も受けていたかについては、明らかではない。だが、この船を運行するカーニバル・オーストラリアの社長は、感染が確認された乗客と乗員はいまのところ全員が、無症状か軽症だと報告している。

船内の感染リスクは高い


クルーズ船のオペレーターの多くは一時、乗客には出発前に必ず、初回接種を受けることを求めていた。だが、ワクチンが政治問題化されたこともあり、それが乗船の条件とされることはすでになくなっているもようだ。

だが、それはクルーズ船での集団感染が、もはや重大な問題ではなくなったということではない。たとえ軽症だったとしても、感染すれば後遺症に悩まされる危険性がある。
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編集=木内涼子

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