コロナ禍で起きる「トリプルデミック」、子どものリスクが上昇

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本格的な冬が近づくなか、米国ではすでに、新型コロナウイルスの新規感染者が増加、入院患者数も増え始めている。そうしたなか、「トリプルデミック」と呼ばれる状況に見舞われているのが、幼い子どもたちだ。

米国では10月初め以降、すべての地域で、3種類のウイルス(新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス)が流行している。感染によって入院する子どもたちの数は急増しており、状況は週を追うごとに悪化している。

11月2日にはノースカロライナ州で、インフルエンザの合併症で死亡した小児の例が報告された。米疾病対策センター(CDC)によると、小児のインフルエンザ感染の関連死が報告されたのは、2020年2月以降、初となる。

もちろん、インフルエンザは新たに登場したウイルスではない。新型コロナウイルスのパンデミックが発生した2020年以前も、米国では例年、約2万~6万人が、インフルエンザの合併症で死亡していた。ワクチン接種は生後6カ月以上のすべての人に推奨されているが、ほぼ毎年、実際に接種を受ける人は50%に満たない。

RSウイルス(RSV)感染症もまた、新しい病気ではない。感染した子どもたちにみられる症状には、風邪のようなものから重症の咳や呼吸困難まで、さまざまなものがある。

RSVの予防には、ワクチンではなく「パリビズマブ」というモノクローナル抗体製剤が使用される。通常は感染した場合に入院リスクが高くなる子どもたちに使用が限定されているが、すでに報じられているとおり、今年は例年より早い時期からの感染者の急増に伴い、米国小児科学会は対象を拡大している。

だが、それでも各地の病院のベッドは、これまで「低リスク」と考えられていた健康な子どもたちの感染と合併症によって、大幅に不足する状況となっている。

そして、引き続き流行しているのが、新型コロナウイルスだ。学校での対策を含め、感染を防ぐために実施されていた措置がほぼすべて撤廃されたことから、子どもたちの感染は増加している。多くは軽症であるものの、全員がそれで済むというわけではない。
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編集=木内涼子

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