投資家は、この変更が収益性の足かせになると見ている。特に同社の消費者金融業務の可能性への影響が考慮され、Antの評価額は急落している。ブルームバーグは、Fidelity Investments(フィデリティ・インベストメンツ)が、2021年6月に780億ドル(約11兆円)、IPO頓挫直前には2350億ドル(約33兆2000億円)としていたAntの予想を、今年5月末には700億ドル(約9兆9000億円)に引き下げたと推定している。一方、BlackRock BLK (ブラックロック) とT. Rowe Price Group(ティー・ロウ・プライス・グループ)はAntに関してはやや強気で、前者は1510億ドル(約21兆3000億円)、後者は1120億ドル(約15兆8000億円)と評価している。
Antと同様、Tencentも規制当局から金融持株会社への再編を命じられたが、これまでのところ、同社の構造の変化はAntで起きているものほど劇的なものではないことがわかっている。理屈の上では、従来の銀行のように当局が規制できる金融持株会社の下に、Tencentは銀行、証券、保険、信用調査などのサービスを統合する必要がある。
WeChat Pay(ウィーチャット・ペイ)が金融持株会社に含まれる可能性もあり、その場合、中央銀行の監督下に置かれることになる。規制当局は、WeChatとQQのウォレットサービスのバックエンドプロバイダーであるTenPay(テンペイ)部門が所有するTencentの現在の決済ライセンスを、WeChat Payのサービスをカバーするには不十分であると考えていると報じられている。
日常の買い物にもQRコードが活躍(Getty Images)