Oculus創業者「ゲームで死んだら実際に殺される」VRヘッドセット開発を発表

Getty Images


いや、もちろん実際にこんなものでゲームをプレイする人はいない。ゲームオーバーしようがしまいが、もし誤った設計があった場合でも死んでしまう恐れがあるため、ラッキー自身もこのヘッドセットを試していない。彼はこのヘッドセットを「オフィスアート」と表現し、ユーザーを殺すことができる現存する唯一のVRヘッドセットだと主張している。映画『ジグソウ:ソウ・レガシー』のジグソウ殺人犯が現実に現れ、中毒になったゲーマーに教訓を与えるために、最新の罠としてこれを設計している……なんてことがない限り、彼の主張は正しいと認めざるをえないだろう。

殺人ビデオゲームは、ラッキーが長年追い求めてきたものであり、彼は1年以上前にこのことについて話していた。

「ビデオゲームに死と同程度の物理的影響があるというコンセプトは、SFの定番だが、現実にはありえないことだと考えられている。 モータースポーツやエクストリームアスレチックなどは人気があるのに、なぜなんだろう?」

また、VRの業界から飛び出しAnduril Industries(アンドゥリル・インダストリーズ)の設立に至り、米軍向けにAIベースの監視・防衛システムを製造している彼の会社で、このような兵器化したゲーム技術を構築したと彼が主張していることも注目に値する。彼らは最近、米国特殊作戦司令部のために働く対無人システムを開発するために10億ドル(約1450億円)の契約を獲得した。

VR技術がいまだ、多くの人が実際に楽しいゲームをプレイするために、ニッチな領域を突破しようとしていることを考えると、ユーザーが本当に死ぬ可能性のあるゲームをプレイしたいと手を挙げるような、ある種の「ソードアート・ディストピア」の方へ向かうアイデアは、まずありえない話だろう。『ソードアート・オンライン』の作中でさえ、プレイヤーを騙して「NerveGear」に陥れる必要があったのに、殺人の可能性を機能としてあげているVRヘッドセットを売り回れるとは思えないからだ。

相変わらず、パルマー・ラッキーは……別格だ。プライベートの島で新たなブラッド・スポーツ(流血を伴うスポーツ)のトーナメントを開催してくれるか、もしくは何かまた奇妙なアイデアが彼の頭の中から飛び出してくれるのを楽しみにしている。

forbes.com 原文

編集=Akihito Mizukoshi

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事