生徒の代わりに「AI」が書いた小論文への教師の対処方法

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地域の関心事、時事問題、学校内での現実的な問題などから生まれる小論文は、アルゴリズムでは誤魔化しのきかない本物の小論文の素材となる。また、生徒にとってはより豊かでやりがいのある課題となるだろう。

実際に調査させる


多くの教師は、古典的な「他からもってきてちょっと手を加えて完成する」研究論文をすでに放棄している。これは、生徒がいくつかの情報源を見つけ、その中から1つを選び、その専門家のアイデアを、盗作とみなされない程度の差分と脚注を付けて書き直すというものだ。これは決して良い課題とはいえない。

その代わり、地元の新聞のアーカイブや生身の人間へのインタビューなど、一次資料を使わせるようにしよう。私は何年もの間、生徒たちに地元の歴史の一部を調査させてきた。これは、調査や作文の練習になると同時に、自分たちのコミュニティについて学ぶことにもつながる。

ピアレビュー(クラス内での査読)


もし私がまだ教師をやっていたら、コンピュータで作成した小論文を査読することに興奮したことだろう。クラス内で作文を共有し合い(名前をつけずに)、修正や改善のアイデアについて話し合うのだ。アルゴリズムが書いてくれた内容について、生徒が何か気づくかもしれない。定期的に「コンピュータ執筆の論文を見破れ」コンテストを開催するのもよいだろう。これはすべて、作文のスキルを身につけるだけでなく、なぜそのソフトウェアが最適な選択でないのかを理解する方法として役立つ可能性があるからだ。

従来の小論文に代わる方法を考える


理解力を育む方法は他にもある。コンピュータを使ったツールでは、テーマや要素が一直線につながっていないプロジェクトを作成する。私の同僚は、毎年彼女の上級生の『失楽園』の理解度をチェックするために、筆者のジョン・ミルトンについて地元の弁護士の前で答弁させていた(ジョン・ミルトンが神の方法を人間に対してうまく正当化できたどうかについて)。

必ずしも小論文を書かなくても、生徒が文章を書き、理解する形式はたくさんある。教師は一歩引いて、その課題から何を得たいのか、正確に問う必要があるだろう。

私は何十年もの間、ライティングに重点を置いて英語を教えてきた。その間に、私は自分のアプローチに多くの切り替えと変化を加えてきたが、現在の技術では別のものが必要だろう。文章でうまくコミュニケーションする方法を学んできた社員が欲しいという多くの雇用主は、それが自分たちにとって本当に何を意味するのか考えた方がいいかもしれない。

一方、業者側もコンピュータによる作文の評価を完璧なものにしようとするため、私たちは、コンピュータが小論文を作成し、それを他のコンピュータが採点し、当の人間は傍らにただ座って何も学んでいないというような世界に危うく近づいているのかもしれない。

forbes.com 原文

編集=Akihito Mizukoshi

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