生徒の代わりに「AI」が書いた小論文への教師の対処方法

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あなたが教師なら、生徒から集めている小論文の中に、実は本人ではなく、アルゴリズムによって書かれたものが存在する可能性が高いことを知っているはずだ。果たして教師は、この新境地にどう対処すればいいのだろう?

小論文を自動生成できるアルゴリズムは、ここ10年で増殖している。ネットで課題の書き方を検索すれば、すぐに何十もの選択肢を見つけることができるだろう。

トップレベルの言語生成AIにも、ある種の言語的な「不気味の谷」も含め、癖や問題が存在する。しかし、これらの多くの欠点があるにせよ、コンピュータのアルゴリズムの技術が、高校生の平凡な小論文を生成できるレベルにまで到達したことは明らかだ。

これは、不正行為検出に関して新たな課題を提示している。従来のコンピュータを使った不正行為の「コピペ」とは異なり、アルゴリズムによる作文はオンライン上に痕跡を残さないため、盗用ではない。このような不正行為を正当化する議論はたくさんある(「私もそれら議論の資料をいくつか知っているが、私自身、あまり説得力を持ち合わせていない」)。では、教師はどうしたらいいのだろう?

「ライティング」ソフトウェアがどのように機能するかを覚えておくと便利だ。ソフトウェアがプロンプトについて「考え」、何らかのアイデアを練るというのではない。実際には、複数の重要な単語を認識し、そのソフトウェアが「学習」するためにこれまで使用してきたサンプルの中から、それらの単語が最もよく組み合わさっているものを真似た単語列を生成するのだ。

パラメータを設定する


コンピュータが生成した小論文に対して、多少強引な対応をすることもできる。授業中にすべての小論文を目の前で書くよう要求すればよいのだ。しかし、良い文章を書くには時間がかかることが多い。教師はすべての課題を手書きにするよう要求することもできるが、これは小論文を読まなければならない教師側の生活をはるかに困難にする可能性がある。

ソフトウェアは、出典の確認や引用が苦手だ。論文に出典を求めると、アルゴリズムに支障をきたすことがある。実際、盛り込まなければならない要素が多ければ多いほど、ソフトウェアが真似するのは難しくなる。2つの文学作品を比較対照するよう生徒に要求すれば(比較対象が時代的に古いものでない限り)、生徒自身の頭脳を使わざるを得なくなるだろう。

また、昔からある方法だが、生徒に自分の小論文を読み上げさせ、クラスからの質問に答えさせることで、生徒が自分の作品をどの程度理解しているかを明らかにすることもできる。

課題の再調整


このソフトウェアが得意とするのは、本物でない文章を作り上げてしまうことだ。これに対する教師側の最善策は、本物の作文課題を出すということだ。

本物の課題というのは、教室での議論や討論から生まれることが多い。国語の授業で特に豊かな文学作品を学ぶと、授業そのものから着目すべきポイントや強調点が生まれ、その作品についての小論文のアイデアもおのずと自然に生まれてくる。そのディスカッションが考察の対象となるテキストの1つとなり、ソフトウェアはそのテキストにはアクセスできない。
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編集=Akihito Mizukoshi

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