Magic Keyboard Folioはトラックパッドサイズが大きく、またファンクションキーが備わるなどの長所がある。奥行きがスタンド分だけ後ろに伸びてしまうのがやや弱点。
第10世代iPadはもっとも売れるiPadに
細かなことを言いはじめればキリがないが、第10世代iPadは解像度や輝度こそ同じであるものの、ディスプレイの見え味の点でiPad Airよりもランクが落ちる仕上げになっている(低反射コート対応ではなく、フルラミネーション構造ではない)。Apple Pencilも第1世代への対応で、変換アダプタを経由してケーブル接続しなければiPad本体とのペアリングおよび充電ができない。
一方でMagic KeyboardよりもリーズナブルになったMagic Keyboard Folioと組み合わせ、iPad Airと同じようなキーボードとトラックパッドのオペレーションが行える。搭載するSoCも第4世代iPad Airと全く同じであり、iOS 16が提供する機械学習処理による一連の便利な機能をカバーするなど、アップルが過去数年にわたって積み上げてきた体験価値の多くを享受できる。
もちろん、機能的な違いがないわけではない。
iPad Pro/AirとMac、共通の新しいマルチタスク操作として発表されたステージマネージャは、第10世代iPadでは利用できない。USB Type-C端子に外部ディスプレイを接続することはできるが、パソコン(Mac)ライクなマルチディスプレイでの操作に使うことはできない。
しかし、iPad Pro/Airの”美味しいところ”を上手に取り出している。iPhoneやApple Watchにおける”SE”シリーズと同様の手法だと感じるのは筆者だけではないだろう。そして、アップルは製品売上の内訳を発表はしてないものの、いずれの製品ジャンルにおいても、SEが最も多く売れる製品であり、アップルの売上と利益を支える製品にもなっている。
第10世代iPadは、SEという名前こそ与えられていないが、今後、(新製品のニュースを好む層には目新しくはないが)もっとも重要な、そしてもっとも多く個人向けに売れるモデルになるだろう。