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2022.10.25 15:30

「台湾」を強調しない世界的ブランドを目指して、台北ファッションウィーク開催

台北ファッションウィーク2023春夏のランウェイより(台北ファッションウィーク)

台湾観光といえばグルメ、スイーツ、雑貨、町歩き、温泉などが思い浮かぶだろうか。それらにファッションが加わる日も遠くないかもしれない。

2022年10月に開かれた台北ファッションウィーク2023春夏に足を運んだ。このコレクションが始まったのは2018年。歴史は浅いが、主催が台北市政府と台湾文化部と聞けば、力が入っていることがわかる。始まってすぐにコロナ禍に突入したこともあり、今回、初めて公式に海外のジャーナリストが招待された。


台北ファッションウィーク2023春夏に参加した台湾ブランド(台北ファッションウィーク)

台湾とファッションとは、イメージが結びつかない人が多いだろう。台北ファッションウィークは、そういったイメージを覆すに十分なイベントだ。今回は10月8日から28日にかけて合計15のショーが開催され、台湾デザイナー達の熱量を感じ取ることができる。

ファッションを通じて目指すサステナビリティを表現


アジアにはすでに東京、ソウル、上海といったファッションウィークが存在している。最も歴史の長い東京ファッションウィークは1985年に始まった。ソウルは2001年から、上海は2003年からだ。

乱立しているとの声も聞かれる中、台湾が独自のファッションウィークを始めたのは、ファッション産業で果たしている役割を世界に知らしめたいという思惑があるからだろう。実際、台湾は世界でも有名なブランドのOEMやODMを数多く請け負っており、その輸出額は毎年300億ドル(約4兆4700億円)に達する。

また台湾は繊維産業が盛んで、種々のサステナブルなテキスタイルを産出している。植物由来のバイオマスポリエステル、廃棄した牡蠣の養殖用ロープのリサイクル生地、海洋ゴミのリサイクル生地、廃棄される魚の鱗を再生した生地など、廃棄物を持続可能な繊維に作り替える技術を得意とする。

こういったテキスタイルは、これまでスポーツウェアやカジュアルウェアに使われることが多かった。しかし2022年3月に開催された台北ファッションウィーク2022秋冬では、台湾のデザイナー達がこれらの素材を使い、ファッションを通じて台湾の目指すサステナビリティを表現した。


「Just in XX」は台湾の少数民族・パイワン族の2050年の姿をイメージしたコレクションを展開(台北ファッションウィーク)

自らの力ですでに世界へと歩みを進めている台湾デザイナーもいる。代表格は「Just in XX」だろう。イタリアと英国でファッションを学んだ周裕穎が率いるこのブランドは、東洋と西洋、伝統と現代性をテーマとしたストリートファッションブランドで、台湾ブランドとしては初めて、そしてこれまでに6度、​​ニューヨークコレクションに登場した実績がある。


自由、平等、友愛、海洋という4つの問題をファッションボキャブラリーに変えたStory Wearのショー(台北ファッションウィーク)

サステナビリティに関しては、生産過程で繊維廃棄物がほとんど発生しないゼロ・ウェイスト・ファッションを掲げて陳冠百が2018年に始めた「Story Wear」というブランドが興味深い。リサイクルのデニム素材を用いて、地元の女性達や脳性小児まひの子どもを持つ親が、すべて手作業で服を縫う。ファッションを通じた社会活動を目指し、台湾初のサステナブルファッションハブを立ち上げるなどの活動も行っている。
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編集=安井克至

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