SUVやEVが普及しても満タンで1000km走れるメルセデスCLSは偉い

引き算の美学「Sensual Purity」スタイルは無二の存在/CLS220d

今、世界では、SUVやクロスオーバーのボディスタイルが大流行している。にもかかわらず、4ドアセダンでまだ頑張っている会社がある。今回紹介するメルセデスベンツCLSは、本当は「セダン」だ。けれど、メルセデスベンツが「セダン」ではなく、「4ドアクーペ」と言い張っているので、今回、何と満タンで1000kmの航続距離を誇る「4ドアクーペ」CLS220dに乗ってみることにした。

はっきり言って、2004年に登場した初代CLSのクーペスタイリングはあまり格好良いとは思わなかったし、各方面からお叱りの声が上がった。メルセデスのデザイナーたちは勇気を出して、思い切りデザイン重視のセダンを手がけた。デザイン重視というのは、つまり、滑らかなボディラインを優先し、十分なレッグとヘッドルームという実用性を犠牲にすることだ。現在のようにSUVがどんどん普及しても、メルセデスがこのスタイリング重視の車両を作り続けることにはかなりガッツが必要。

そういう意味で、CLSは貴重な存在だ。実は、初代CLSは、業界初の「4ドアクーペ」というボディスタイルを導入し、するとすぐ後に、フォルクスワーゲンCC、ポルシェ・パナメーラ、アウディA7などが影響を受けた。

横から見たCLS

後ろから見たCLS

しかし、この3代目のCLSは、プロポーションを少ししか変えていない割には、随分と格好良くなったと感じた。このボディはメルセデスが「Sensual Purity」と呼ぶデザインだけど、今までの複雑な面の構成を削り落とす、いわば引き算の美学でデザインされている。このデザインも賛否両論だけど、エクステリアでは、新たに採用された「スターパターングリル」や、グリル内にスリーポインテッドスターの模様がちりばめられているところから高級感を覚える。また、「上がり目の」ヘッドライトからシルエットまで全体的に美とシャープさを感じる。

前部の写真

このCLSは2018年登場のクルマで、今回のモデルはマイナーチェンジの車両なのでインテリアの造形は現行型「Sクラス」「Cクラス」より一世代前のテーマに沿ったものだ。ダッシュボードのスタイリングはあくまでも上品でエレガントと言える。今回の改良ではステアリングホイールが刷新され、タッチ式のステアリングスイッチが採用された。運転支援システムの作動時に、「ドライバーがハンドルから手を離している」という誤認識が発生しにくくなった。

ステアリングの写真
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文=ピーター ライオン

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