ちなみに、僕が乗った試乗車はオプションの赤と黒のツートーンで52万4000円の「エクスクルーシブパッケージ」を装着していたので、シートはしっとり滑らかなナッパレザーだった。
メルセデスお約束のMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)はだいぶ使いやすくなったので、「ハーイ、メルセデス」と呼びかけ、声で目的地を設定したり、近くの美味しいイタリアンも案内したりしてくれる。
「CLS220d」に搭載される2リッター直4ディーゼルターボ・エンジンと7段ATとの組み合わせは優秀だ。加速性には文句がないし、それよりもアッと驚くのは、ディーゼルの満タンで1000kmも走行できること。つまり、マイルドハイブリッド機構なしで、燃費はWLTCモードで16.5km/リッターとなっている。これで、600kmしか走れない代表的なSUVや、350kmしか走行できない最新のEVなどと比較すると、燃費を気にする人ならCLSのメリットがじわじわと伝わってくる。
低回転域で力強いトルクを発生するエンジンのおかけで、走り出しが素早く滑らかだ。よりシフトチェンジが滑らかにトランスミッションの制御もあって、「CLS220d」の走りはスムーズそのもの。もちろん、電気自動車みたいに加速性は瞬間的ではないにしても、力不足は一切感じないし、加速性には不満はない。ドライブモードは「Eco」「Comfort」「Sport」「Sport+」「Individual」の5種類から選べるけど、多くのドライバーはほとんど使わないだろう。
街での静粛性や心地よさは、高速道路に入っても変わらないず、巡航速度で走行しても気持ちがいい。乗り心地は特に優れていて、高速道のつなぎ目を踏む時もふんわり、乗り越えた後はぴしっとして、どっしり感と安定感を覚えた。今どきの高級車らしくADASは充実。アダプティブクルーズコントロールに操舵アシスト付きの車線維持支援機能、レーンチェンジアシスト、パーキングアシストなどが標準装備されるので、どの場面でも楽に対応できる。
946万円からの価格を高いと思う人はいるだろうけど、この手の車両には悪くないプライスだと思う。デザイン重視のボディや3色のスタイリッシュな室内空間、走行や乗り心地の良さ、それに1000kmの走行距離に魅力を感じるのは僕だけではないと思う。正直なところ、SUVやEVには乗りたくない人に、打ってつけだろう。