中国との「半導体戦争」、米国が勝ち抜くには供給網見直し急務

ジョー・バイデン大統領(Getty Images)


たとえば、半導体の製造に必要な金属である銅やアルミニウム、タングステンをみてもいい。銅はチリが世界最大の埋蔵量をほこるが、その最大の顧客は長年中国だ。アルミニウムは中国が世界最大の産出国で、年3600万トン生産している。米国のアルミ生産量は世界9位にとどまる。タングステンも中国が群を抜いて世界一の供給国で、中国の同盟国であるロシアが3位となっている。

バイデンは国民に電気自動車(EV)を買わせたがっているが、その動力源にエネルギー供給するリチウムイオン電池についても似たようなことが言える。やはり半導体の製造に使われるガリウムも、世界生産の95%超を中国が占めている。

こうした事実を指摘するのは、米国が中国とのハイテク戦争に勝てる見込みは薄いのかと米国民を意気消沈させたいためではない。息を吹き返しつつある米国の半導体産業のために、信頼でき安全なサプライチェーンの構築に向けた戦略が緊急に求められているということを、あらためて認識してもらいたいのだ。

そのためには、同盟国やパートナーと協力したり、国内で何をどのように製造し、原材料をどこから調達するかについて、長期的な視点から考えたりする必要もあるだろう。

繰り返せば、いまの米国は、世界各地に広がったグローバルなサプライチェーンに依存しすぎてしまっている。第一次大戦や第二次大戦時の英国の状況に似てきているとも言えるだろう。英国は海外に広がる帝国を築いていたにもかかわらず、敵国ドイツに、製造業の原材料や基礎食料、燃料など、さまざまな品目のサプライチェーンを断たれ、文字通り飢餓の淵に立たされた。

幸い、英国にはサプライチェーンの救世主となる強力な同盟国、すなわち米国がいた。だが、今日の米国に同様の存在はいない。エネルギーから強固で安全なハイテク経済に不可欠な原材料にいたるまで、米国が経済的な自立を取り戻せるかどうかは、すべてわたしたち国民と政治家がどう行動するかにかかっているのだ。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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