本記事では、これを記念してForbes JAPAN編集長の藤吉雅春が、取材を通じて出会った経営者たちの「言葉」を振り返る。
「あなたは自分の言葉をもっていますか?」。そう聞かれて、答えられる人はあまりいないでしょう。しかし、インタビュアーとして経営者や多くのリーダーに話を聞いていると、「書ける」と思える瞬間があります。それが「この人は自分の言葉をもっている」と感じた瞬間です。では、言葉をもっているとはどういうことかを説明したいと思います。
Forbes JAPANは2014年6月の創刊以降、多くの人たちをインタビューしてきました。そして2022年10月25日発売の12月号で100号を迎えました。創刊号から99号までを振り返って、100号に「新・名経営者たちの未来の変え方」という保存版「言葉の特集」記事をつくってみると、「人を動かす言葉」は説得力に満ちています。
Forbes JAPAN 2022年12月号「新・名経営者たちの未来の変え方」より ▶︎アマゾンで購入
赤字転落から巨大組織の改革により過去最高益を出したトヨタ自動車の豊田章男、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス、メルカリの山田進太郎、スタートトゥデイの前澤友作、日本電産の永守重信、ダイソン創業者のジェームズ・ダイソン、そして2022年にお亡くなりになった稲盛和夫さんなど、男性も女性も気迫にあふれるものが多く、みんな本気度が違っています。
バックナンバーを振り返っていると、特集「新しい師弟関係」(2020年6月号)では、ソニーの出井伸之元会長が、社長時代に『ローマ人の物語』で有名な作家の塩野七生と続けた文通を見せてくれました。
社長だった頃、出井さんがローマで塩野さんと会ったときに、「ソニーはどうしてこんなに難しい会社になっちゃったんだろう」と漏らしたそうです。すると、塩野さんから「難しくしたのはあなたよ」とピシャリと言われ、「歴史を見ると、魚は頭から腐る。頭は一番重要だけど、それだから最初に腐る」と叱咤された意外なエピソードを披露しています。
ソニーの出井伸之元会長(Forbes JAPAN5周年アニバーサリーパーティーにて)