ビジネス

2022.11.02

日本郵政グループと連携したスタートアップ企業、顧客はいきなり「全国民」?

AVILEN代表取締役CEO髙橋光太郎(左)、同社取締役・AI開発事業部長大川遥平(右)、JPデジタル代表取締役CEO飯田恭久(中央)


──飯田社長に教育動画コンテンツについてお伺いします。制作にあたって、印象深い出来事はありましたか?

飯田社長:いざコンテンツ制作を開始すると、日本郵政グループ内に「変えたい人」「変わりたい人」が、沢山いることが分かりました。みな嬉しそうに協力してくれます。JPデジタルが進めるDXの支援は、日本郵政グループ40万人の「パワーの解放」でもあることに気づきました。

私はJPデジタルを通じてDXの旗振りをしていますが、日本郵政グループの全員がDXのスペシャリストになる必要があるとは考えていません。人には、向き・不向きがあります。サービスを作ることが得意な人もいれば、分析が得意な人もいるでしょう。そこに適切な学びの場、深掘りの場を提供したい。そう考えています。

そして、共通認識のベースとして「顧客視点を持つ」こと。これからも、そこに、こだわっていきたいです。

JPデジタルとの連携が「ファーストチョイスになる」ように


──最後に今後の展望、これからについてお伺いします。

髙橋社長:さきほど「日本郵便」の郵便事業の物流(ロジスティクス)はデジタルと相性がいいと申し上げましたが、そのデジタル領域においては、我々の手がけているAI事業含め、技術やそれに伴う外部環境変化のスピードが指数関数的に速くなっていると認識しています。

外の変化に対応していくためには以前にも増して、教育の継続、それに耐えうる運用体制の構築が重要だと認識しています。日本郵政グループの「日本郵便」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の利用者に対して、長期的に体験価値の向上を提供し、顧客満足度を上げる仕組みをデジタル組織開発、データ活用・AI開発といった点から今後も支援していきたいですね。

飯田社長:日本郵政グループの素晴らしいところは、意見を尊重してくれる点があると思っています。今回の事業連携は、日本郵政キャピタルの投資委員会を含め、関係者の方々がJPデジタルの意見を尊重していただき、すぐにシナジーを生むことが出来ました。JPデジタルの本気度が、グループ内にさらに伝播して「変えたい人」「変わりたい人」が、もっと増えてくれるように活動を続けていきます。

第一号の提携であるAVILENとの成功を嚆矢として、内部の変革のみならず、外部からの見え方も変えたいですね。スタートアップ・コミュニティーからエンタープライズ企業まで、JPデジタルとの連携が、ファーストチョイスになるように、仕掛けを続けていきます。

<編集後記>

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このインタビューの帰り際、飯田社長は、「窓のある広いオフィス」を案内してくれた。固定の座席がほとんどない室内は「集中ゾーン」「討議ゾーン」に分かれており、あえて壁を作らず簡素なカーテンで仕切られている。綺麗なオフィスだが、飯田社長が言うように、よく見るとあまりコストがかかっていない。組織の成長に合わせ柔軟にレイアウトを設計できるようになっている。多くの事業所・郵便局を持つ日本郵政グループには、約150名の一級建築士が在籍しているそうだ。

飯田社長は、その中から20代の若手の建築士に依頼して、オフィスの設計を依頼した。任されたほうは驚いたと思うが、やりがいとともに「変えていく」という気概を感じたに違いない。グループ全体を巻き込む力。JPデジタルの今後から目を離せないと感じた。


曽根康司(そね こうじ、インタビュアー)◎EXIDEA取締役/CPO(Chief Product Officer)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程EMBAプログラム修了(MBA)。時計店経営・バイヤーからインターネット業界に飛び込む。アマゾンジャパン、ヤフー、キャリアインデックスを経て、2022年7月よりEXIDEAにジョイン。「焼肉探究集団ヤキニクエスト」メンバーでもあり、全国数百件の焼肉店を食べ歩いている。

取材・文=曽根康司 編集=石井節子

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