外資系CAからエンターテイナーへ 35歳の新人「CRAZY COCO」がバズる理由

普段の凛とした佇まいと、ネタで見せる“変顔”のギャップが印象的なCRAZY COCO


昨年のTHE Wを振り返って、「結果も賞金の1000万円も私にとってはどうでもよかったんです」と言うのは、病床の母に売れている姿を見せるためにも、とにかく早くテレビに出たかったからだ。華々しいタイトルよりも、印象に残るステージにして、「事務所への所属」の足がかりを得たいと思っていた。

狙い通りに吉本興業から声がかかり、事務所に所属すると、売れるための戦略として自身の「メディア化」を掲げた。マネジメント側からは、「まずは自社劇場のライブに出演して、そこで人気が出たらテレビに出演」という吉本のスタンダードなルートが提案されたが、それではテレビ出演まで数年かかってしまう。別の道を提案した。

それが、舞台に立たない代わりに、SNSを駆使してスピーディーにファンを獲得する方法だった。自らマネージャーを説得し、舞台にはほとんど立たずに活動してきた。結果的にTikTokで約3万8000人、Instagramで15万人以上のフォロワーを獲得し、それがテレビ出演につながっている。


芸名の由来はCA時代のあだ名である「CRAZY JAPANESE」。離陸直前で「シャンパンを出せ」などと無茶なサービスを求める乗客に、躊躇なく「NOはNOだから」と伝えていた強気な性格からきている

自分自身のブランディングについても、テレビで活躍している女性タレントたちを分析して「勝ち筋」を研究している。

「皆さんを参考にした結果、視聴者の方に覚えてもらうためには3つの特徴が必要だという考えに至りました。私の場合は、『元CA』『英語が話せる』『関西弁』の3点が揃えばCRAZY COCOだ、と認識してもらえるように意識しています」

自らの手で掴んだ、見る人をハッピーにするという新しいキャリア。その姿を通して、「年齢なんて関係なく、何歳からでも何にでもなれるということを伝えられたら」という思いもある。

「エレンの部屋」に憧れ


最後に、「これまでに挫折したことは?」と問うと、「これといったものはないですね……」と考え込んだ。そこには、常に前を向いて進み続けてきた彼女らしさがにじみ出ているようだった。

一方、将来的な目標は明確で、冠番組を持つことと、海外進出だという。最も憧れるのは、アメリカで約20年続いたトーク番組「エレンの部屋」(2022年5月に終了)の人気司会者エレン・デジェネレスだ。

「これはエレン・デジェネレスが、大物ゲストを呼んでトークをする番組なのですが、私も英語力を生かしながら、タレントさんや企業の社長さんなど、様々なジャンルの方とお話できるような番組ができたらと、夢見ています」



CRAZY COCO◎お笑いタレント。エミレーツ航空CAなどを経て、2021年夏のコロナ罹患をきっかけに「女芸人No.1決定戦 THE W」に参戦。アマチュアで準決勝に進出し、吉本興業からスカウトを受け同社に所属。8月にはデビューわずか数か月で「ネクストブレイク芸人ガチャ LIVE STAND SP」で優勝。「上田と女が吠える夜」(日本テレビ)、「アメトーーク!」(テレビ朝日)などに出演し、視聴者に鮮烈な印象を与えている。

文=矢吹博志 構成=田中友梨 撮影=小田駿一

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