コミュニケーション上手な彼女は、大学時代にオーストラリアに10カ月間留学し英語をマスター。その英語力を活かした職に就こうと考えた。
新卒で入社したのはタオル商社。ただ、英語圏の担当と聞いていたはずが中国担当を命じられる理不尽な事態に。数年は勤めないと転職に不利と考え、なんとか3年耐え抜いた。
CAの座を「戦略」でつかみ取る
転職を考えているタイミングで友人から紹介されたのが、エミレーツ航空のCA募集。さっそく応募したものの、結果は不合格だった。
「当初はそれほどCAになりたいと思ってはいなかったのですが、『落ちた? むかつく!』と火がつき、負けず嫌いを発揮しました」
社会人になった頃は「お笑い芸人は選ばれし者の仕事」だと思い、自らがなるなど想像したこともなかったという
仕事を続けながら半年間CA予備校の夜間クラスに通い、再度受験をして、見事合格。リベンジにおいては、徹底的なリサーチと“あざとさ”を武器にした。
「友人から、面接官が以前と同じ女性である可能性があると聞き、それであれば、絶対に見た目を褒めるのが“勝ち”だと思っていました。そして、本当にその女性が面接官だったので、髪色が変わったことに気が付き、すかさず指摘しました」
そのコミュニケーションは、面接官に「乗客の顔を覚えて気持ちのいいおもてなしができる」と評価された。ほかにも、就航都市や幹部の名前など、同社に関する情報は“誰にも負けない”という自信がつくほど徹底的にリサーチしていた。
「日本語に訳されている情報だけでは他の応募者との差がつかない。英語で情報収集したのがポイントでしたね。実際に、日本ではまだ発表されていなかった新しい就航都市の情報を答えることができて驚かれました」
戦略家らしい彼女の一面だ。
自らを「メディア化」し、夢をつかみ取る
2021年に4年半務めたエミレーツを辞めたのは、キャリアを考えたときに「35歳」が節目だと感じていたことと、病気を患っている母親の体調を気遣ってのことだった。
その後、東京にて英語学習コンサルタントや総合商社での海外営業などを経験し、特定技能生就労サポートに従事。その夏にコロナに罹患した。