テクノロジー

2022.10.25 18:00

セルフレジは善か悪か? テクノロジー導入の摩擦を減らすには

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私達の未来のショッピングのために


事業環境が変わる中で、持続可能なショッピングを実現しようとすると、時には企業と消費者の双方がテクノロジー導入に伴う「摩擦」を経験することがある。
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例えば、10月に本格運用を開始したウォークスルー型決済店「Lawson Go」。オープンにあたり、ローソンの酒井執行役員が「デジタルを活用して新しい未来をつくる中で、無機質ではなく、新しい肌感覚のある店舗を目指した」と述べているのは、そうした消費者の新たな「摩擦」を軽減しようと意識しての発言かもしれない。

単に省人化の目的でやみくもにテクノロジーを導入し、「摩擦」の共有を図っても従業員や消費者はついてこないのだ。その一例が先述のセルフレジなのだが、IBMのインスタントチェックアウトの発明者、Lindsay Herbertも「リテールテクノロジーの仕事は店員の役割を高めることであり、店員に取って代わることではない」と述べている

だから、一橋大学ビジネススクールの名和高司教授が「今後目指すべきはCX3.0(カスタマー・トランスフォーメーション)」と言っているように、企業の利益や顧客の要求にいたずらに従うのではなく、企業は消費者とともに社会的な利益に貢献することを志向していくべきではないだろうか。
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同時に、「摩擦」を減らすためには、企業がテクノロジー導入の背景や意味を消費者に正しく伝えていくことも大切だ。

余談になるが、前述の自宅近くのコンビニの話には続きがある。筆者がセルフレジに並んでいる近くで、店員さんが盲目のお客さんをコーヒーマシンに誘導し、コーヒーを入れて手渡すという丁寧な接客をされていた。

混雑するお昼どきにあのような対応ができるのは、セルフレジが決済業務を代行しているおかげなのだろう。


三井朱音◎Avery Dennison Smartrac マーケットディベロップメントディレクター。大学卒業後、デロイトトーマツコンサルティングにて航空、宇宙防衛、自動車、重工業等への顧客へのコンサルティングに従事し、2014年にAvery Dennisonに入社。アパレル顧客へのRFID導入やバングラデシュをはじめとする各生産拠点におけるカイゼンプロジェクトなどをリードし、現在は物流/サプライチェーンの観点から物流・小売企業へのデジタル技術導入の戦略立案や実装支援を行う。慶應義塾大学法学部卒。フランスのトゥールーズ第1社会科学大学に交換留学。茶道師範。

文=三井朱音

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