経済・社会

2022.10.13 13:30

23年間収監されていたアドナン・サイエドがDNA鑑定で無罪に、米国

釈放され郡庁舎を後にするアドナン・サイアド、2022年9月19日、メリーランド州ボルティモア市(Lloyd Fox/The Baltimore Sun/Tribune News Service via Getty Images)

サイエドとその家族は「不当な有罪判決による罪のため」の23年間の牢獄生活によって痛み、犠牲、トラウマに悩まされたとボルティモア州検事マリリン・モスビーがこの日の記者会見で語り、本人と家族に謝罪した。

モスビー検事は、サイエドの元交際相手ヘイ・ミン・リーの家族に対しても「想像を絶する悪夢を繰り返し思い出させた」ことを謝罪した。彼女は1999年に死亡し、翌2000年、サイエドは殺人罪で起訴された。

3週間前、捜査当局が別の匿名容疑者2名を示す証拠を発見した後、判事はサイエドの有罪判決を破棄し同氏を釈放した。その後検察はサイエドをリーの殺人について再審議するか、起訴を取り消すかを検討していた。

モスビーによると、検察当局が犯行現場にあった複数の物品のDNA検査を新たに行った結果、リーの靴には「複数人のDNAが混在」していたが、サイエドのDNAはなかった。サイエドの裁判が行われた当時の技術では検査が不可能だったため、これらの証拠品はこれまで鑑定されていなかった。

新たなDNA検査の結果は「私たちがすでに知っていて、アドナンが無実であり、犯していない罪のために23年間の人生を失ったという現状を裏づける証拠が確認されました」とサイエドの弁護士で、ボルティモア大学ロースクール、イノセント・プロジェクト・クリニックのディレクターであるエリカ・スーターは述べた。

「刑事司法制度の基本は公正で適正な手続きによるべきものであり、本件の核心は、今日私たちがここにいるのは23年前それがなされなかったためだということです」とモスビーは言った。

このニュースの1週間前、リーの家族は、メリーランド州特別抗告裁判所にサイエドの裁判の法的手続きを中止するよう要請した。サイエドの有罪判決を無効にする検察の計画を十分事前に知らされていなかったと彼らが主張していたためだ。

リーの家族は、サイエドの釈放を検察が発表する対面聴聞会に彼らが参加するための時間的猶予が十分に与えられなかったことも申し立てた。家族はSunに目的は「サイエド氏の釈放に影響を与える」ことではなく「間違った人物が23年間牢獄で過ごしたのだから、リー一家も世界も、どんな新しい証拠がその結論につながったかを理解したいからです」と語った。
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翻訳=高橋信夫

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