経済・社会

2022.10.13 13:30

23年間収監されていたアドナン・サイエドがDNA鑑定で無罪に、米国

安井克至

一貫して無罪を訴え続けていたサイエドは、リーの殺人に関して2回訴訟を受け、第一級殺人、窃盗、誘拐、および不法監禁の罪で2000年に有罪判決を受けた。サイエドとリーがボルティモア郡ウッドローン高校3年生だった1999年1月、リーは行方不明になった。3週間後、彼女の遺体が森の中で見つかった。

当時の検察は、サイエドが、2人が破局した後にリーが新たな恋愛関係をもったことに嫉妬して犯行に及んだと主張した。ポッドキャストのSerial(シリアル)、HBOのドキュメントシリーズ『The Case Against Adnan Syed』をはじめとするいくつかの調査や、サイエドと親しい人々による擁護運動などによって、サイエドをリーの死と結びつけた証拠に対する疑問が浮かび上がった。一連の調査結果は、検察がサイエドの同級生だったジェイ・ワイルズの一貫性のない証言に依存していたことを指摘した。ワイルズは自分はサイエドがリーの遺体を埋めるのを手伝ったと主張した。検察は、犯行現場にサイエドがいたとする信頼性の低い携帯電話基地データにも頼っていた。サイエドは、自身の裁判で数回にわたって意義を申し立てた。

検察は、当初の捜査で見過ごしていた別の2名の容疑者を示唆する新たな証拠を発見した後、サイエドの有罪判決を無効にする行動を起こした。ボルティモア市検察当局は、サイエドの弁護士は容疑者について知らされておらず、検察は無罪を証明するあらゆる証拠を被告と共有しなければならないとする「ブレイディ・ルール」に違反していたことを明らかにした。容疑者の1人で今も匿名の人物はサイエドとつながりがあったとBaltimore Sunは報じている。同容疑者は、別の人物の前でリーを殺すと脅迫した容疑をかけられており、現在複数の性犯罪で服役中であると同紙は伝えている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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